【教師の尺度】生徒はあなたとは違う

生徒とあなたの違い

 教師は生徒の能力を伸ばそうと思って

一生懸命指導計画を立てます。

そして学校でも塾でも

指導計画を立てて指導を行うというような傾向が、強い組織であればあるほど

 指導の分量や客観的な達成度のノルマを気にします。

「9月20日はこの単元を教えて、教科書の何ページから何ページを学ばせる」

というような計画を念頭に指導を行っていきます。

 そうするとどんなことが起こるかと言うと

その計画に理解度やスピードが合っている生徒については

それでいいとして

当然理解に時間がかかったり、スピードが遅い生徒は

その計画では十分な学習ができなかったりすることになります。

 生徒のすべてが

あなたのようにスイスイ理解ができるわけではありません。

あなたの意識で

「できた」と思う達成度が得られるための情報取得量と

生徒が思うそれは

多くの場合大変違っています。

これは現場で生徒を教えていれば

すぐに気が付くことなのですが

意外にも

長年教師をしている方の中にも

あくまで自分の意識を基準に、生徒の達成感を考える人が結構いるので驚きます。

でも、あなたと生徒は違うのです。

計画は確かに重要ですが

生徒の尺度というものを常に意識するということは

指導においては、大変重要になって来ることではないかと思います。

1問に時間がかかることが問題ではない

 教師が指導をしていて、やってしまいがちなミスがあります。

それは、自分の尺度で生徒の勉強量を測ってしまうというミスです。

 たとえば数学が極端に苦手な生徒がいたとします。

連立方程式を解こうとしますが、

まず方程式のやり方をすっかり忘れてしまっているので、そこから教え直します。

方程式ができたら今度は加減法を教えます。

しかし加減法自体一から学習し直したらいろんなステップがあり、それを確認していくと大変な時間がかかります。

 それなりにとりあえず解けたという段階で、連立方程式の計算問題1問を何とか1時間で解けたとしましょう。

 実は、こういうときに教師がミスをしてしまう危険があります。

つい「今日これだけしかできなかったから、今度はもう少しできるようにしよう」と言ってしまうのです。

生徒としては、自分なりに色々な新しいことが学べて

しかも達成感があるのに

最後にこの言葉をもらって

急に他人との比較で、「自分はできないのだ」という意識を持つことになってしまいます。

 もし、こういうことを言ってしまうと、その生徒のその日の学習への満足感は

一気に失われてしまうことでしょう。 

「よし、今日は十分できたな。次もこれでいこう」

こういう声掛けでいいのです。

勉強ができる自分の尺度で生徒を見ない

 教師になる人間は、普通勉強が得意かあるいは勉強が好きな人間です。

そうでなければ、人に教えようとはなかなか思わないからです。

 そういう人間が自分の一番得意な指導科目で指導をしているのですから、

当然連立方程式の計算なんて

「こんな簡単な計算」という意識があります。

だから考えているのは、

連立方程式の計算などは、10分くらいで一気に済ましてしまって

むしろ文章題などへ時間を割き、

1時間の中でバラエティーのある学習をするというプランだったりします。

 そういう目で生徒の学習の進みを見ていると、

どうしても

「1時間でたった計算1問か?」

という気持ちになってしまうのです。

 しかしそれは、数学の得意な自分を基準とした生徒の状態を顧慮しない考え方でしかありません。

1問できることによる進歩の大きさ

 「連立方程式が全くわからない」

いや「方程式自体がよくわからない」という生徒が、

次々に謎だったところを教えてもらって、

全く何をやっているかわからなかった加減法も

次にできるかどうかわからないものの、

何とか手順を知ることができ、正しい数字を出すことができたときの喜びをあなたは想像できますか?

 それは、方程式がスイスイとできる生徒が連立方程式の計算問題を1問解く喜びと比べてよほど深いものに違いありません。

 教師は得てして、量が消化されないと生徒は物足りないのではないかという意識を持ってしまいがちです。

しかし量がこなせないことは必ずしも一番の問題ではありません。

「わかる喜び」を味わえるかどうかこそが、常に考えなくてはならない問題なのです。

 この場合、生徒はたった1問だけしか解けなくても、

自分ができなかったことをできるようになる喜びを味わうことができています。

だから、分量がこなせなくても本人の中では大躍進だったりするのです。

 ここを教師が自分の尺度を基準として勘違いしてしまい

上記のようなセリフを言ってしまったら、教師にとっても生徒にとっても不幸なことが起こります。

 だから教師は自分を基準に生徒の出来具合を判断することだけは絶対にしてはいけないのです。

比較する対象は常に

「その生徒の過去」と

「その生徒の今日」です。

今日の出来具合が過去のその生徒よりも勝っていれば、

それは大いに喜びほめるべきことになるのです。

生徒個人個人に合わせるということの具体的な意味はそういうことなのです。

 こういうのを別の言い方では「絶対的評価」と言いますが、

この言葉は知っていても

実際の指導でそれをしっかり意識している教師は、意外に少ない気がします。

通知表の評定をつけるときには意識しますが、

肝心の指導の際にもそれを意識することはなかなかできないものです。

 自分を含め他人とその生徒の出来を比べるところから、指導を始めてはいけません。

また、実際には存在しない

「客観的な一般人」

というような基準を想定して、それを基準に指導を始めるのもいけません。

 その生徒のみを見つめて指導を行うことが、

結局指導を成功させるための唯一の秘訣だと思います。

今後も皆さんのお役に立つ指導のコツをアップしていきます。


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