受験直前期の受験生
中学受験でも高校受験でも、初めての受験というものは
受験生にとって大変なプレッシャーがかかるものです。
これまでは、必ず所属する場所が決まっていたのを
受験と言う選択肢の向こうには「不確定な未来」が待っているという
人生始まって以来の不安定なポジションに置かれることになるからです。
受験制度は昔からありますが
少年少女が受験のために、揺れる心で毎日を過ごしているのを見ると
少しでも「安全」に合格へ導いてあげたいと思わずにはいられません。
しかし受験というものは
不合格ということがあるから受験なのであって
全員合格するなら、試験の意味がありません。
危険をゼロにすることができないというのが
試験というものの宿命だといえるでしょう。
人生は不確定だと知る
こういう事情から周りの大人は、
とにかく受験については
「安全」に「無理をしないで」という心情になりがちです。
それはもちろん当然のことなのですが
受験と言うものは、時に
子どもが大きく成長する機会になるというのも、また事実です。
そしてそれは、
「合格の喜び」を味わうという事が、良い経験になるというだけではありません。
考えたくはないかも知れませんが
「不合格」を乗り越えるという事も、それ以上に大きな良い経験になることもあります。
「物事は考え様」という綺麗事で言っているのではなく
これまで「不合格」になった生徒のその後を見て、真にそう思うようになったからです。
前にも記事にしましたが
高校で第1志望校に不合格となり失意の中、高校ではこれまで以上に勉強に邁進した結果
大学受験で大成功をした例はたくさんあります。
逆に順調に合格したけれども、うまく行かないことも当然あります。
人生は不確定で
「合格」は、人生のパスポートなどではないからです。
「合格」は単に、より自分の進路に対して可能性を持った環境での学習が出来るようになることに過ぎません。
勉強をしなければ、その環境が無駄になってしまうのは言うまでもありません。
受験生はともすると、「合格しなければすべてが終わる」くらいのイメージを持ってしまいます。
無理もない事ではあり、モチベーションを上げるには役立つ意識ではありますが
それを強く思い過ぎることは大変危険です。
言うまでもありませんが
合格しないからと言って「すべてが終わる」はずはありません。
今年の試験の合格がなくなっただけです。
中学受験であれば、3年後の高校進学(受験・内部進学など)のチャンスがまたやってきます。
高校受験であれば、3年後の大学受験や専門学校進学でまた新たなチャンスがやってきます。
大学受験でも、社会人になってからのチャンスもあれば、浪人でのチャンスもあります。
そしてその先だってずっと同じことです。
自分が失敗と認定しなければ、何回でも次のチャンスが必ず訪れます。
およそ「この学校」に入れなかったから
「人生が上手くいかなくなった」というような事などはありえません。
もし上手くいかなかったとしても
それは「不合格」のせいではなく、「不合格後」の当人の事情によることが多いのではないでしょうか。
だから受験の時期だからこそ、周りの人間に
子どものこの先の人生を想定した視点が、必要なのだと思います。
受験生を追い込んでいるのは?
今回は、続けて縁起でもない話になってしまって恐縮ですが
受験に失敗した場合、ショックは大変大きいものの
意外に、思ったより本人が元気があることも多い気がします。
受験のプレッシャーから解放されたということもあるでしょうが
子どもであっても、やはりシビアに
「次のステップを考えなくてはいけない」と思うからだと思います。
これに対して
受験前に本人を追い込んでしまうのも
受験後に本人以上にショックを受けて、本人を辛くさせるのも
実は近くにいる周りの人間であることが多いと思います。
受験生の周りの人間は
受験の失敗で「本人が傷つくことがないように」との愛情から
とにかく色々先回りで手を考えます。
当然のことではありますが
どんなに周到な準備をしても、予定通りにいかない事もあります。
考えてもみてください。
自分の事でさえ一生懸命やって上手く行く場合もあれば、そうでない場合もあるのです。
ましてやかわいいわが子であっても、自分ではない別の人格の人間のすべてをバックアップできるはずはありません。
私は、自分の2人いる子どもの受験については
恐らく他の親と比べて、少し多い回数見守ってきたと思います。
高校受験、大学受験、法科大学院受験、司法試験受験、二回試験(法曹になる試験)受験、就職試験等々・・・
何回も見守ってきました。
最初の頃は自分自身が眠れませんでした。
しかしやがて
「試験に落ちたら、元気づけるのが親の仕事だ」
そう思うようになりました。
そして「上手く行っても行かなくても、前向きに頑張るわが子が宝である」
そういう気持ちになったように思います。
かといって、長男の司法試験合格発表の日は
自分が何回も迎えてきた司法試験発表より、よほど眠れない日が続きましたが・・。
まあ、そんなものかも知れませんね。
ここで私が言いたいのは
「親は子どもを見守るしかない」という
たった1つの真実です。
「志望校に見事合格してまぶしい姿」もわが子であり
「不合格しても再び立ち上がり次へ向かう姿」もわが子であって
黙って見守ってあげればいいのです。
というよりも見守る以外に出来る事などないのかも知れません。
そして、子どもであっても
親の気持ちはよくわかります。
「ああ、きっと合格してほしいんだろうな」などど
自分の子どもに思われないようにしたいものです。
子どもがそういう気づかいをするということが、結局
子どもを追い込んでしまう一番の原因になります。
泣けるほど心配でも、子どものために
「あんたが落ちたって、別に世の中何も変わらないから頑張ってやりな」
くらいのカッコいいセリフを吐いて見たいですね。
今後も皆さんの役に立つ情報をアップしていきます。