【教師向け指導のコツ】「なぜ、わかりやすく伝わらない」学力が高い人は要注意!

学力が高い人が教師に向いているとは限らない

 教師の指導を長年やってきて、たくさんの教師志望者や教師を見てきました。

そこで感じたことは、教師の仕事はたしかに知識が必要な仕事ですが、学力が高い=優秀な教師というわけではないという事実です。

 皆さんも過去に生徒であった頃、

「この先生頭がいいんだろうな。だけど話が下手だな」とか「先生は自分ではわかっているみたいだけど、私たちは全然わからない」

という感想を持つ教師がいたのではないですか?

 教師としてのコミュニケーション能力や表現力・指導力は、学力とはまた別のものなのです。

なぜ教えるのが下手になるのか?学力の高い人は要注意

 では学力があり周辺知識もたくさんあるのに、なぜ教えるのが下手なのでしょうか?

およそ人に何か教えたいと思っている人ならば、「教えるのが上手になりたい」ということを

必ず思っているはずなので

このような現象が起きる理由には、きっと興味があるのではないかと思います。

 学力が高い人にもいろいろなタイプがいます。

たとえば…

①自分で学習法を考えた末に勉強ができるようになった人

②とにかく与えられたことを超真面目にこなしていたら勉強ができるようになった人

③勉強をそんなにしなくても何となくできてしまった人

といったタイプがいると思います。

 この中で教えるのもおそらく上手くできる人は、①のタイプではないかと思います。②のタイプの人は、教え方の勉強が結構必要になるかもしれません。

③のタイプの人は教えるのには苦労する可能性があります。

 どういうことかと言いますと、勉強ができる人や学習内容が元来よくわかる人は、そもそも自分は勉強ができたために、苦労せずできてしまったという分野やポイントが少なからずあります。

そのため生徒が「どのようなことがわからないのか」を実感としてとらえられない場合が、程度の差はあるとしても必ずあります。

 私も一番最初に指導をしたときには、「どうしてこれがわからないんだろう」とびっくりしたことが結構ありました。

これはおそらく教師であれば、全員経験をすることです。

 そして指導をする際には、もう一度その内容を「どうやって勉強したんだったかな?」と振り返って、やり方や工夫を次第に思い出して指導へ向けてそれを引き直して、ようやくしっかりとした指導ができるのです。

 ところが、②③のタイプの人の中には、いろいろ思い出してみても、自分がその分野の学習がよくできるようになった理由がはっきりわからないことがあります。

②のタイプだと教える人にやり方は任せていた人が結構いますし

③のタイプだと「最初からピンときた」という感覚の場合も多いからです。

それで、その過程を上手く説明できず良い指導ができないということがあるのです。

 自分がそのタイプだと思う人は要注意です。

わかるようになった過程をトレースするのが一番簡単

 複数の科目を指導する教師間で話をするとよく、

自分が学生時代得意だった科目の方が教えるのが下手で、

自分が苦戦した科目は教えるのが上手

という話が出ることがあります。

 これがまさに、やり方を工夫したりして、

「わからないものがわかるようになった経験」が指導に生きるという例です。

どこで自分がつまづいたのかをよく知っているので、非常にわかりやすい説明が簡単にできるのです。

逆に得意な科目は、教え込もうという意識が高くなるため失敗も多くなるのだと思われます。

 苦戦した記憶が残っていれば、わからないものをわかるようになった自分のその過程を頭の中でトレースしていけば、それが直ちにわかりやすい説明になります。

 さらに指導の際にも「ええっと、これはどうだったかな?うん、ここをこうして…」と経験を思い出しつつやっていくようなスタイルにすれば、

苦手な生徒は教師の思考をしっかりまねることもでき、わかっていく道筋を後追いすることができるため、非常にわかりやすい説明になったりするのです。

「そもそも…」という形で整然と体系的に上から話が下りてくるよりも、

このようなやり方の方が、現に困っている生徒を実際に救うことができる場合は、多いように思います。

できるようになった理由が漠然としている場合には?

 では②③のタイプで、なぜできるようになったか漠然としていてうまく説明ができない場合は、どうすればいいのでしょうか?

 もちろん、この場合にあたったからといって失望することはありません。

 生徒の解答は間違いだらけです。それを日々見ることになります。

 だから、自分がその生徒になったつもりでどこでひっかかっているかを、よく観察していけばいいのです。

そうすると解決策が浮かびます。それを教えるのです。

この時に教師は、自分が学習したときにはセンスだけでマスターしてしまった学習内容を、もう一度「教える用の情報」に上書きできたことになります。

 自分で、「自分は優秀だったから気を付けないといけない」と自覚ができていれさえすれば、方法はたくさんあるのです。

教師の世界では、実は「学生時代優秀だった」というのは

メリットではなくハードルになる事も多いのです。

 問題が生ずるのは、多くの場合「自分が良くできたから教えるのは大丈夫」と思い込んでしまっている時です。

教えることには、学力だけでは越えられない大きな壁があると思って指導をすることが大切なのです。

 間違っても「こんなことがわからないとは勉強不足だな。オレはわかったのに」というような先入観を持ってはいけません。

そんな考えを持ってしまうということは、わかりやすい指導を放棄したも同然なのです。

 今後も皆さまのお役にたつ情報をお伝えしていきます。


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