【化学のコツ】「まずペダルを踏んで」あいまいな理解をしがちな化学反応式の基礎知識

化学反応式の基礎知識

 化学反応式については、多くの人が混乱しがちな基本的な疑問点についての記事を

前回 http://wizzseiun.com/atom-2/  前々回 http://wizzseiun.com/thinking-5/ アップしましたが

今回はさらに詳しく、意外に意味が分かっていない人が多い化学反応式の中の係数について見てみたいと思います。

たとえば

水素(H)と酸素(O2)が化合して水(H2O)ができる反応について、このような化学反応式があります。

2H+O2→2H2O

学習の初歩の段階で習う基本的な化学反応式ですが

原子の数を左側と右側で同じ数にすることを学ぶには、良い素材とされています。

 実験としては「試験管の水素を燃焼させて軽い爆発を起こすと水ができる」という実験が例となるでしょう。

実際には爆発と言っても「ポン」と音がする程度です。

 さてここで

H2には2という係数が付いているのにO2にはついておらず

またH2Oにも2という係数が付いていることについて

「なぜそうなるのか」というのが重要なポイントになりますが

簡単に言うと

 〇〇 〇〇  + ●● → 〇●〇 〇●〇 

という図を考えてもらえば、実はすぐに意味は分かります。

〇が水素原子で 〇〇は水素分子です。

前回も説明したように、自然界では常温で気体の原子は2つずつで分子を作ることが多いため、このような形で存在しており、

このパーツを覚えておくことが、化学反応式の学習ではとても重要です。

そして2H2というのは、この〇〇が2ペアあるという意味です。

 次に、●は酸素原子で ●●は酸素分子です。

これも同様の理由で、こうなっています。

そして右側の〇●〇はHが2つとOが1つですから、H2Oということになります。

それが2つあるというのが、2H2Oの意味です。

 このように図を見ていくと

左側の原子の数が〇〇〇〇●●であるのに対して

右側の原子の数は〇●〇〇●〇で

同じ数であるとわかりますね。

 係数がついているのは、このように左右の原子の数を合わせるため

つまり自然界ではそういう変化が起こっているということを、正確に表していることによるものだと言えます。

 係数のつけ方の手順は今回は触れませんが

その趣旨は、こういうことだとお分かりいただけかと思います。

基本の基本がわからない

 ところが生徒が実際に混乱して分からないのは

実は、もっと基本の基本の部分であることが多いのです。

 2Oの「係数の2」と 分子の中に含まれる原子の数であるO2の「右側の小さい」の意味の違いがわからないという生徒がかなりいるのです。

先ほどの図を見せると、すぐにわかるのですが

そういう生徒に限って、ビジュアルで確認してみようとしないことが多いため

2Oの意味がなかなかつかめません。

「〇〇が2ペア」というのが係数の2

「〇が2こで1ペアを作る」というのが右下の

ということになりますが

教科書にも書いてあるこの知識を、しっかり読んでいる生徒はほとんどおらず

授業でやっても肝心のその部分だけ飛んでいたりします。

 そのため式の意味がつかめないので、あいまいなことを前提に

「じゃあ係数を考えてみよう」と言われても、全く考えが及ばないということになってしまいます。

化学反応式の学習は、初めて自転車に乗るのと同じ

 化学式や化学反応式の学習は

多くは中2の理科がスタートの時期で、そこから学習を進めていきますが

最初は何も知らないところからスタートするので、それこそ自転車に初めて乗る子どもと同じ状態です。

 英語については学校で習うだいぶ前から、塾や英会話スクールなどで勉強をしている生徒も多いのに

化学反応式について、早期に勉強しようという人はかなり少ないと思われます。

 だから、いきなり全く未知のことをどんどん学習していくことになります。

 そういう時には、何となく進んでいくことは危険で、

自転車に乗る練習を初めてした時のように

まず「これがペダル。さあ足をのせてみて」

「これがハンドル、しっかり握って」というように

1つ1つ語句や役割を確認していくことが、極めて重要です。

2O2の係数2の意味も、「数学と似ているな」という風に軽く考えず

しっかり意味を分かるまで確認して、それから次へ進むことが大切だと思います。

 同時に教える教師の側も、頭のどこかに

「数学の係数と基本的には同じ考え方だからわかるはず」

という甘さが生じるのもこの分野です。

2xyと2(x+y)の意味が違うように、2O2の意味も異なります。

一つ一つを具体的に説明していかないと、生徒には届かないことがあると思いますから

現場の先生はその点を留意されるべきだと考えます。

 今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。

 

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