「忘却曲線」の秘密
「忘却曲線」について知っている方は意外に多いかも知れません。
記憶を忘れてしまう度合いをグラフ上の曲線で表したあれです。
学校やテレビなどでこれについての説明を受けることは、結構あると思います。
中でも有名なのは、心理学者のヘルマン・エビングハウスが研究の結果を公表したものです。
節約率という数値を使って比較をして
20分後 節約率が58% 1日後 節約率が34% 2日後には、節約率が27% 6日後 節約率が25% などと表しています(抜粋)
簡単に言うと、最初記憶した情報を1日後にもう一度覚え直そうとすると、初めて覚える時に比べて34%短い時間で覚えられるということです。
段々節約率が少なくなっていくのは、わかり易く言うと初めて覚えるのに近づいているということを示しています。
よく節約率と覚えている量を混乱して説明がされているので、記憶が急激に落ちていくようなイメージを持たれている方が多いかも知れません。
したがって実際はグラフのイメージほどではありません。
しかしそうは言ってもこの理論では、1日経っただけでも、もう一度最初に覚えた時間の3分の2の時間はかかるというのですから
結構記憶はあてにならないという感じであるとわかります。
ところがこの実験の対象は、実は単純な意味を持たない文字列を暗記した実験であることは多くの人が知りません。
この記憶実験は、rit、 pek、 tasといった全く意味のない文字列を覚えるというやり方でやっていたのです。
そりゃあこんなのがたくさん出てきたら誰でも忘れますよね。
そんなに人は忘れない
ここでお伝えしたいのは
確かにこういう単純な文字列の記憶は、かなり早く低下していくと思いますが、
それは当たり前だということです。
人が記憶をするときには
記号的に情報を記憶するのではなく
その「意味」をつかんで記憶していくのです。
「意味」のない文字列を覚えるとしても
おそらく自分で何らかの読み方や、イメージを作ることをして
その上で記憶をしようとするはずです。人の記憶と言うのは本当に面白いものです。
好きなタレントやアイドルのことを忘れることはない
たとえば好きなタレントがいて
大ファンだったとします。
その人はそのタレントの生年月日から星座、好きな食べ物、何月何日にどこでコンサートをしたかまで、楽々覚えてしまいます。
忘却曲線など関係ありません。
1年たっても完全に覚えているはずです。
そのタレントに飽きない限りは・・・
間違いありません。
このことは実に興味深い事実を表しています。
興味を持ったことについては人は簡単に忘れないのです。
勉強にもあてはまる
だとすれば、話は簡単です。
勉強でも、学習内容に興味を持つことが
一番記憶を高められる方法だと言うことです。
「勉強なんて面白くないから」という反論が予想できますが
面白くないのは、「できなかったりわからないことが多いから」と言う場合が実は多いのです。
テストで1位を取っている生徒がそういう台詞を言うのは
ドラマの中だけです。
出来れば勉強は面白くなるのです。
「鶏が先か、卵が先か」の話みたいになってきましたが
「興味があるからできるようになる」
「できるからさらに興味を持てる」
という好循環が生まれるのがベストですね。
それには
先入観を持たないで
まず「面白いかも」と思って取り組むことが重要だと思います。
学習というものは元々単純なものです。
「知りたい」という気持ちが世界に広がっていく、それが学習のスタートラインです。
そういう気持ちで勉強をしていけば
「忘却曲線」などは
まったく別の世界の話になってしまうのです。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。