【「腹」を使う慣用句】心と密接につながる場所。それは「お腹」

「腹」に関する慣用句

以前、間違えやすい慣用句へのとらえ方について記事を書きましたがhttps://wizzseiun.com/2021/08/19/idioms-2/

慣用句にも、いろいろな種類があり、勉強してみると大変面白い分野です。

 慣用句の中で特に代表的なものは、身体のパーツを使ったもので、その中にもいろいろなバラエティーがあります。

 そして人のメンタルに関連するものが多いのが「腹」に関する慣用句です。

たとえば 

腹を探る (相手の真意を探ろうとする)

腹が据わる (物事に動じない)

腹を決める (決意する)

腹を立てる  (怒る)

など、どれも心の動きに関連するものばかりです。

メンタルの変化を反映するお腹の不調

 バブル全盛の頃、「24時間戦えますか」というビジネスマンのコマーシャルが一世を風靡していました。

あの頃、営業職に就いた人に多くの職場で言われていたすごい言葉があります。

それは

「十二指腸潰瘍になったら一人前」

営業職は大変気を遣う場面が多い仕事のため

十二指腸潰瘍になる人が多かったようです。

 メンタルの変化をすぐに反映してしまうのが、こういうお腹の不調だと言えます。

これなどは極端な例ですが

多かれ少なかれ

何かドキドキしたり、ショックを受けたりしたときに、お腹が痛くなるのは

昔から人類共通の悩みと言ってよいでしょう。

「腹」を使った心の状態を表す慣用句が多いのも、当然の事かも知れませんね。

微妙な言い回しを可能にする慣用句

 慣用句は、会話の中でダイレクトにその内容を正確に言い表すよりも

微妙な言い回しを使って、人の心の状態を伝えることのできるとても便利なものだと思います。

さすがは我が先人たちと言ったところでしょうか。

 たとえば

大きく笑うことを「腹を抱える」と言いますが

人が大声を出して楽しそうに大笑いしている様子が見事に浮かびます。

 ただ「大笑いする」というよりも、ずっと味がありますね。

このように楽しい気持ちについても、お腹は関係していて

そのことを昔の人もよく知っていたということでしょう。

 笑いすぎることを「腹がよじれる」と言ったりしますね。

なお「腸(はらわた)がちぎれる」はつらくてたまらないという意味です。これと間違えないようにしましょう。

 悪いことを表現する慣用句もあります。

 「腹が黒い」という慣用句は、悪事をたくらむような性質を持っているという意味の言葉ですが、

「あの人は、何か悪いことをたくらんでいそうな人だよ」と言うよりも

ひそかにその人の危険性を、相手にそっと伝えることが出来そうです。

 これと似た言葉として、「腹に一物」という慣用句があります。

これは、表面上何事もない様子だが何か企んでいそうであることを示す言葉です。

 何かお腹の中に「悪の秘密兵器」が隠してありそうで

面白い表現ですよね。

慣用句の世界を楽しむ

 まだまだ「腹」を使う慣用句はたくさんありますが

こういう表現を味わって楽しむことで、広くその用法をつかんでおくことは

会話や創作などにおいても、とても役立ちます。

 ちょっとした会話の際にも

ダイレクトな表現でなく、慣用表現を用いればよくイメージが伝わると思います。

ぜひお試しください。

 今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。

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