教師に対して「できるフリ」をする生徒たち
生徒にはいろんなタイプの生徒がいますが、軌道修正しようと思ってアドバイスをするときに、一番困ってしまうのが「できるフリ」をする生徒です。
教師は生徒を見ることについてはプロですので、生徒の反応を見ればその生徒が学習内容を理解しているかどうか一瞬でわかってしまいます。
ところが、こういう生徒はわからないことやできないことを、とにかく隠そうとします。
学校でもそうなのかもしれませんが、塾はできないことを解決しに来ているのに、その教師に「できるフリ」をしていては、弱点の補強の入り口にも行けないことになってしまいます。
もちろん教師からわかっているかどうかの確認をするので、結局そんなフリは意味がなく指導を遅らせてしまうだけなのですが、やはりできないことを知られるのが恥ずかしいということもあるようです。
しかし学習というのは「何ができないか」を分析してできるようにしていくものですので、このような学習の姿勢には問題があります。
わからないことを「わからない」と言えることは、自分の中でも頭の整理ができるので実は大切なことなのです。
できないことの分析は、やるべき対象を知るという意味でとても大事です。
漠然と「できないから恥ずかしい」という意識を持っているだけでは、合理的に対策をしていくことが難しくなってしまうこともあります。
励ましていくうちに姿勢は変わります
こういうタイプの生徒は、どういういきさつかはわかりませんが、「わからないこと」を悪いことと思っている場合がかなりあります。
生徒によっては「わからないこと」で叱られた経験がある場合もあります。
このような意識は、学習において成果を出すのにマイナスに作用してしまう危険のある意識です。
こういう場合には、指導時に
「わからないことをはっきりさせることが、わかるようになるのには重要なことであること」
「わからなくても叱られないということ」
を繰り返し伝えて安心をしてもらうことで、少しづつ姿勢が変わってきます。
時間がかかることもありますが、余計な意識を取り払うことが必要です。
ずっと昔の話になりますが、新しい生徒が入ってきたときに、
その生徒から
「できなくても殴られませんか?」と聞かれて、腰が抜けるほど驚いた経験があります。
もちろん「殴るはずはない」「できないことを叱ることは絶対にない」と説明して安心してもらいましたが、
その生徒は以前学習していた塾では、できないと頻繁に殴られていたとのことでした。
今でしたら通報するレベルの話ですが
昔は結構そんな話がありました。ひどい話です。
こんな極端な事例ではなくても、教師によっては生徒が「理解できないこと」や「結果が悪かったこと」そのこと自体について、厳しく叱ってしまう人がいるようです。
教師の行動としては論外中の論外です。
できないことを叱るのは逆効果
生徒が勉強で結果が出ないときに、その結果だけを叱るというのは避けるべきだと思います。
もしも叱咤激励をしたい場合には、成果を上げるのにマイナスになってしまった行動について具体的に注意をするべきです。
そうしないと、子どもは「どうすればよかったのか」に気づくことができないからです。
やるべきことをしっかりやらなかったとか、途中で手を抜いたとか、保護者と約束をしたことをやらなかったとかいうことは注意の対象になると思います。
しかし結果のみを取り上げてそれを責めるということは、生徒に結果のみを注視させることになってしまいます。
そして結果にこだわるけれども、その過程には目を向けないようになってしまう危険もあります。
だから、よくなかった行動について本人が自ら気づくようにさせていくことの方が格段に効果があると思います。
また、学習をして学力を伸ばしていくためには、クリエイティブな面での頭脳の働きが不可欠です。
萎縮した心や頭ではいい結果が残せるはずもありません。
「できるフリ」をして良いことは1つもない
そして生徒の側から見ても「わかったフリ」や「できるフリ」をすると、学習をする上で自分が損になることばかりおこると思います。
観察力がない教師であれば、できるという前提で先に進んでしまうかもしれません。
またせっかく自分の学力に合わせた指導をうけられる機会を自分から捨ててしまうことになります。
自分に合っていない指導を受けなくてはならない状態に自分を追い込むことにもなります。
ですから、指導を受ける時には学校でも塾でも、
まず「わからないこと」「できないこと」をしっかり申告することから始めていくことが大切だと思います。
今後も皆さんのお役にたつ情報をアップしてまいります。