至る所にある先入観
私たちは普段、すべてのことを一から考えて行動をしてはいません。
多くの場合、「おそらくこんな感じかな」という判断で行動をしています。
そうでなければ大変だからです。
特に習慣になっていることなどは、先入観=「ルーティン化に適した意識」を持って行わないと日常生活を営めません。
たとえば歯を磨くときに、「まず歯ブラシを棚から出して、次にコップを」といった手順を一々考えてはいませんね。
磨こうと思った瞬間、歯ブラシとコップに手が伸びているはずです。
勉強における先入観の意味
勉強においても、先入観は類似概念を探索するのに役立つことがあります。
「これ、あのやり方と似ているな、使えないかな?」といった最初の「当たり」の部分で、問題を解くための切り込み方を探るのに有効な場合が結構あると思います。
時間節約面でも経験則による正しい方向性という点からも効果があります。
けれどもそれに頼りすぎると、実際にはマイナスに働くことも多いのではないでしょうか。
同様なものだと思い込んでやっていたら、実は異なるものであったということでミスをするというのは典型的な先入観によるミスです。
大変多くの人がこういうミスをします。
先入観を利用した出題をするのが上手い出題者
逆に考えてみましょう。
受験者が先入観によって誤った選択をするミスを
出題者が上手く誘うことができれば、
それはテストの問題としては、生徒の実力を試す良問ということになります。
もちろん些末な読み違いを誘うようなものはどうかと思いますが、
「AとA’というような類似の内容をしっかり理解しているかどうか」を判別できるような問題なら、学習の成果をきちんと問うことができるはずです。
なぜこんな出題の仕方がされているのかを考える
高校受験の出題では、非常に文章量が多いものが増えてきました。
一番顕著なのは理科ではないかと思います。
[実験1][実験2][実験3]の手順が長々と図で掲載されていて、
その次に2つくらいの表やらグラフがあり、
さらに選択肢も10くらいもの多数の肢があり、
その肢もお互いに微妙に違う、
そんな出題を、どの県の入試問題や私立高校の入試問題でも、以前より多く見かけるようになりました。
こういう長文の問題は、問題にもよりますが時間をかけて読んでみると、意外に内容は思ったよりも難しくなかったということが結構あります。
こういうのを見ると、「ああ、出題者は先入観で難しいと思わせているな」と感じます。
受験者は
「なぜ数行で聞けることを、3ページ近く割いて聞いているのか」
その意味を考えなくてはいけません。
こういう読みも「出題意図を読むこと」なのです。
そして、難易度がさほど難しくないのに、
先入観で間違ってしまう問題というのは、どういうものなのかと言えば、
それはずばり
「合否を分ける問題」と言うことになると思います。
実際、そういう狙いも出題者側にはあると思います。
難易度の高い問題を普通に出したり、逆に易しい問題を出すだけでは、真の実力を図れないことがありますが
普通の問題を手順を複雑にして、考える力や事務処理力を加味して判断すれば
真の実力を見ることができる可能性は上がります。
だから、イメージで難しく見える問題こそ、しっかり読んでみるということが重要です。
時間をかけても取る必要のある問題は、こういう問題なのです。
過去問題を解く際には、そういうところを問題から読み解いておいて
実戦のための情報として頭に入れていくのです。
「ああ、これは正解」「これは間違った」ということだけ演習するのは
過去問題でなくてもできます。
しかし問題の出方をよく分析して
「この学校の問題(あるいは公立問題)の出題者は、受験者にどうして欲しいんだろう」
という意図を、自分なりに読み解いておければ
実際の得点率も上がりますし、何よりも合格可能性は倍増すると思います。
「相手の気持ちを読む」
それは、試験対策でこそ有効なことなのです。
今後も皆さんのお役にたつ情報をお伝えしていきます。