「同じ間違い」を繰り返すのは当然
テストの際や演習の際に、何回も何回も、同じ間違いを繰り返す事があります。
その度に「ああ、そうだった」と反省しますが、それでもまた間違えたりします。
こういうことは誰もが経験をしている事だと思います。
一度で何もかも、正確かつ精密に暗記をしていくことができればいいのですが
人間はAIではありませんので、間違いをします。
そして間違いを繰り返してしまいます。
では、同じ間違い繰り返すのは頭が悪いからでしょうか?
人間の頭脳をAIやコンピューターと単純に比較する考え方によれば
同じ間違いを繰り返すのは、単に性能が悪い脳ということになりそうですが、
実はそうではありません。
手を打たなければ、「同じ間違い」をするのは当然と言ってもいいことだったのです。
「同じ間違い」がなぜたくさん起こるのか
同じ間違いを繰り返す状況には、さまざまな場合がありますが
一番多いのは「似て非なるもの」いわゆる類似概念の取り違えだと思います。
たとえば地理で「扇状地と三角州」を習いますが
どちらも三角っぽい形の土地であるため、つい混乱してしまいます。
川の下流の海に流れ込むところにできるのが「三角州」で
山から流れ出るところに堆積して扇型の土地を形成するのが「扇状地」ですが
そのような内容を、一旦理解して覚えたにも関わらず
「河口に扇状地だったかな?」という風に取り違えをしてしまうのです。
そして、自分があやふやな覚え方をしているこういう所ばかりテストではよく出題されるのです。
もちろんこれには理由があります。
テストというものは、本当に理解をして知識を定着しているかどうかを確認するためのものです。
だからできるだけ真の実力があるかどうかを試そうとします。
そうすると自然、紛らわしいものや混同しやすいところを出題することになります。
逆にいえば、紛らわしいところばかりしっかり押さえれば、高得点を取りやすいとも言えるのです。
同じ間違いを繰り返す理由
同じ間違いを繰り返してしまうのには、このようにそもそも類似概念や混同しやすいところが繰り返して聞かれるということに一つの理由があります。
ただ、それならば対策をすれば回避できるのではないかということになりますが
問題は、対策をしているようでいて、しっかり類似概念の見分けについての真の対策をしている人が実は少ないということです。
先程の「扇状地と三角州」についても「ああ、まちがえちゃた。今度は気をつけよう」
というくらいで、次回また間違えるという例が非常に多く見られます。
「類似概念を取り違えないようにする」という工夫を、何ら実施していないのです。
類似概念で混乱しないための対策
具体的な対策としては、次のやり方が効果的だと思います。
①「同じ間違い」を繰り返すのは偶然ではないということを、しっかり認識し直す。
②繰り返して間違えないための「くぎ」を必ず打ちこむ。
③実際に混乱しないか「仮テスト」をする。
この3つのステップです。
①についてはすでに述べましたので
②と③について説明します。
②の「くぎ」というのは、つまり印象付けです。
類似概念を何度も間違えてしまうのは、記憶の中に、両者を区別するとっかかりの部分が不足しているからだと思います。
だから何か印象付けをして、いつでも見分けができる目印のようなもの(それを「くぎ」と表現しました)を設定しておくことが重要になります。
上記の例でいえば、「扇状地の斜面にはリンゴがなっている」(山の中だということが思い出せる)「三角州の向こうには海が広がる」とかの、いわば実質的な状況からの「くぎ」でもいいですし
もっとイメージ的に、扇の絵を思い浮かべると「その向こうに山から流れ出る川が見える」
というような連想シーンを自分で作っておくというようなものでもいいです。
いろいろなやり方があるかと思いますが、単に「ああ、間違えた」というのではなく
こういう思考をした後には、おそらく再び間違えることはなくなってくると思います。
どうやら人間の脳は、平板に物事を丸暗記するのではなく
イメージとともに情報が織り込まれるように定着していくようになっているようなので
ここでいう「くぎ」のようなものがあって初めて、忘れない記憶というものが形成されます。
そして、③も大切です。
一度問題文に戻って、自分の刺した「くぎ」が有効に作用するかどうかを確かめてみるのです。
これを「仮テスト」と表現しましたが、実際の問題文から、さきほどのイメージ付けがよみがえって正解を出せるかどうかやってみるのです。
そうすると、そこで一度答えを出せたというフォーマットが完成しますから
次回からよりスムーズに正解を出せるようになっていくと思います。
ぜひお試しください。
今後も皆さんのお役にたつ情報をアップしてまいります。