【言葉への感度】何となくやっていませんか?「粗い解答」

読み取り力は全教科で必要な能力

 問題文を読み取ってこれに解答をする、いわゆる読み取り問題については、

国語だけでなく、数学でも理科でも全ての科目で答え方が重要になってきます。

 「読み取りは苦手だ」と言う生徒は結構いるのですが、

それが事実であれば、全科目において常に失点する危険があるということですから、早いうちに対策をしておく必要があります。

 読み取りが苦手な人は、意外に自分では気づいていないできない理由があるものです。

その理由について、書いてみたいと思います。

「問題文で聞かれていること」はどこでわかる?

 読み取りが苦手な人で、とても多いのは、

問いに対して、そもそも対応していない解答をしてしまっている人です。

 たとえば、「まとめて述べなさい」という聞き方、「抜き出しなさい」という聞き方、「書いてあることを簡潔に書きなさい」という聞き方で

それぞれ解答の仕方は異なります。

しかしどの場合も、それらしいところを探して抜き出して書いてしまっている生徒がいます。

あるいは「簡潔に」とあるのに、大量に延々と書いてしまったりしている生徒もよく見かけます。

 当然のことながら、内容の適否を考えるまでもなく、入口で門前払いということになってしまいますね。

 問題文で聞かれていることは、「問いの文末」をよく読めばはっきりわかります。

ただこれは文末と言っても、後ろに追加の条件なども書いてあるので、一番最後と言う意味ではありません。

「出題者が核心となることを聞いている文」の文末ということです。

はっきり書いてあるので、解答はそれに合わせて書けばいいのです。

意外にも、このごく基本的な事に気づいていない場合や、

気づいていても出来ていない場合が割とあるように思います。

たとえば「どう考えるか」であれば、考える内容を書けば良いのは言うまでもないですが

「なぜか」であれば、理由を書いて「~だから」と答えれば良いですし、

「具体例を挙げて述べよ」であれば、例を書けば良いだけです。

そんなにハードルが高くないのに、実際にできないのは

「聞かれていること」をしっかり見つけないままで答えているからです。

そして「ここに書いてあるね」と指摘すると、初めて見当違いの事を書いていたことに気づいたりするのです。

粗い解答

 次に読み取りが苦手な人について気づくことは、解答が「粗い」と言う点です。

そういう生徒は、問題文をざっと読み、何となく「このあたり」という所を抜き出してきて適当に解答をします。

 感覚的な解答のやり方なので、「当たるも八卦当たらぬも八卦」という事態に陥ってしまう事も多いのです。

たとえば、あなたは

どう考えるか」と

どう感じるか」と

どう評価するか」という

それぞれの問いに対して、その微妙な聞き方の違いを意識した解答を的確にできるでしょうか。

「交通事故が今年倍の件数になったことについてどう考えるか」なら

「今後へ向けて対策が必要だと考える」

「交通事故が今年半分の件数になったことについてどう感じるか」なら

「増加率の高さについてとても怖いと感じる

「交通事故が今年半分の件数になったことについてどう評価するか」なら

「事故対策につき昨年よりもかなり低い評価をせざるを得ない」

というような解答がされると思います。

「考える」は対象となる事全般について広く思考した結果を記述するという形になりますが、「感じる」はあくまで主観を書きます。

「評価する」は「考える」より狭く、対象についてその是非や程度を判定するという記述になると思います。

しかし、はっきり区別できずに書いてしまっている生徒も結構います。

言葉への感度を上げる

 こういうミスや混乱を避けるにはどうしたらよいでしょうか。

対策として一番重要なのは「言葉への感度」を上げるということだと思います。

日本語は普段から使っている言葉なので

だれでも、何となくぼやっと「こんなものかな」という意識で解答をしている場合は多いのです。

でも、読み取り問題で必要とされるのは

問題文に「正面から答えている的確な解答」ですから

このようなアバウトな感覚では、実際はなかなか得意にはならないでしょう。

 例を挙げて言うと

「そのねこ道を横切ったよ」というのと

「そのねこ道を横切ったよ」というのでは

イメージされる状況が少しだけ違うというような事を理解できることが必要かも知れません。

前者では、過去に「その特定のねこについてそんな出来事があった」という報告(排他の「が」)ですが

後者では、暗に「別のねこの存在」を前提とする報告(対比の「は」)になっています。

両者は、読んだ時に読者がイメージできる状況自体が少しだけ異なっています。

このような「言葉に対する感度」を上げる事ができれば

自然と問題文の読み込みも丁寧になって来るかと思います。

 読み取り問題ができない場合

「問題がわからない」というよりも

「問題が聞いている精度まで自分の精度が追いついていない」

ということでできないという事が多いと思います。

多分に意識の問題ですので、まずその点から変えていく事が近道ではないかと思います。

今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。

 

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