試験を前にして緊張しない人はいない
受験の厄介な所は前日までの準備というインプットの他に、当日力を出し切らなくてはならないというアウトプット面も考えなくてはいけないという点にあります。
とくに大きな試験である入試や国家試験では、人生がかかっているという思いから、普通ほとんどの人が緊張して、かなり前からメンタル面で苦しむことが多いでしょう。
これは当たり前のことです。
逆に「全然平気」という人はその試験へかけているものが少ないのかも知れませんが、そんな人もまれだと思います。当日になって急に動揺することもあるので、むしろ私はそういう人の方が心配です。
今回の話は、簡単に言うと「みんなバリバリ緊張するから、大丈夫」
そんなお話です。
受験ではいろいろなことが起こる
どんな受験でも、いろいろなハプニングが起こります。
試験運営側によるハプニングとしては、リスニングが上手く流れなかったり、試験問題の手配に手落ちがあったり、試験時間を誤って実施がされてしまったり…
よくあることとしては、問題文の誤りや落丁があったり… 挙げていけばキリがありません。
また、受験生自身が原因のハプニングとしては、試験会場を間違えたり、受験票を忘れたり、指定された筆記具や定規が揃っていなかったり…、
実際に問題を解いている段階でも、答案用紙を破いてしまったり、何回か強く消したら穴が開いてしまったり、 いろんなことがあり得ます。
ハプニングが起こりやすい理由
普段はそんなことは起こりそうにないのに、なぜ試験日にはアクシデントが起こりやすいのでしょうか。
それは簡単な話で、皆緊張しているからです。
受験生はこの日に向けて全力で準備をして来て、すべてを出し切ろうとしています。
試験の運営をする人も、受験生の努力を公正に判定して、適正にそれに報いることができるように万全の態勢を取ろうとします。
自然皆一生懸命で、緊張が試験会場の隅々まで広がっています。
どうしたって何かハプニングが起こってしまいがちなムードになるのです。
実際大学入試のニュースでも、「試験時間を5分短くしてしまった」とか「出題の内容に問題があった」とか「出題に解答不能問題があったので受験者に一律得点が加算された」とかいう話が流れますね。
ハプニングは起こりやすいのです。
ハプニングが不合格にはつながらない
ではハプニングがあったら、想定外で不合格になってしまうということになるのでしょうか?
答えはノーだと思います。
運営によるトラブルはもちろん公平に措置がされます。
また試験会場を間違えたとしても、時間までに正しい場所に行けば良いだけのことです。
受験票を忘れた場合の救済も、私の知っている限りあらゆる試験で行われています。
大昔は「失格」なんて時代があったようですが(戦前とかの話です)
今はどんな試験でも普通、「仮受験票」を発行してもらって受験ができるようになっています。
物理的なトラブル、たとえば筆記具忘れなどは対応してもらえないことも多いので、これはちょっと仕方がない場合もありますが、それでも、早めに気づけば何とかなります。
答案用紙を破いてしまう受験生は、たまにいるようです。
ですが内容が読めない訳ではないので、別にそれだけで失格になったりもしません。
ある試験では、隣で一生懸命答案を書いていた人が、突然鼻血を出しました。
血がぽたぽたと答案用紙に落ちてその人は大変パニックになってしまっていましたが、試験監督の方が冷静で、
「これなら答案は読めますから大丈夫ですよ」「少し経ったらまた続けていただきますね」と言って落ち着いて対応したため、その人も落ち着きを取り戻し、そのまま受験を続けることができました。
また、私が旧司法試験を受験していた時に、ある年、教室の前の方に座っていた人が突然大声を出して立ち上がり、何か叫び始めたことがありました。
「どうしたのか?」と思ってドキドキしていたら、さっと試験監督の人が来てその受験生を両側から抱えて会場から連れ去ってしまいました。
その手際がとても見事で、「ひょっとしてよくあることか?」と思ったのを覚えています。
でも、良いのか悪いのか分かりませんが、その後も皆冷静に、何事もなく試験が続きました。
その風景は、今思うとちょっと異常だったかもしれません。
ハプニングは問題ではない。それで動揺することが問題
このようにハプニングは起こります。避けようとしても起こると思った方がいいかもしれません。
でもハプニングが合否に直結することはそんなにあるわけではありません。
問題なのは、ハプニングに動揺するメンタルです。
アクシデントが起こっても「大したことはないさ」と思って、そのまま試験に集中することこそが大切です。「危機管理」と言っても良いかもしれません。
実際の試験の内容でも、ピンチと思い込んで逆に失敗するということがあります。
これも司法試験受験の頃の話ですが、最初の時間の科目で大失敗をしたと自分が思って、それ以降の時間の問題に手がつかなかったので、その年の択一試験に失敗した人がいました。
ところがその年の最初の科目(普通は憲法)は急に難しくなって平均点が非常に低かったのです。その代わり民法などの他の科目が易しくなっていました。
だから私など最初にまず民法を解くやり方をしていた人は「今年は易しいぞ」と思ってスタートしていたので、憲法だけやけに難しくてもあまり影響が出ませんでした。
「ピンチと思ったら実はピンチではない」「自分で勝手にピンチを作る」
こういうことは試験では本当によくあります。
試験会場を間違えた
受験の本番ではありませんが、若い頃私は模試で試験会場を間違えてしまったことが一度あります。
会場と思っていた大学に行ったら門が開いておらず、おかしいと思って受験票を見たら、学部が違っていて勘違いをしていたことに気づきました。
青くなって慌てて走りに走り、電車を乗り継ぎして正しい会場に着いたのはまさに試験開始の2~3分前でした。
客観的には大変なハプニングです。
でもその時の私の心境はどうだったかというと、何か大冒険をしたような楽しさに包まれていました。本当にぎりぎりに到着できたので、心底ホッとしたのです。
「ああ、面白かった」と思って試験会場を眺めたら、皆緊張した面持ちで準備をしていました。
私は、もうその模試は受けられないと半ば思っていたので、受けられること自体がうれしくて、座るなりいつもより集中して解答をすることができました。
そうなんです。 その日の模試で、その年受けた模試の中で一番良い成績を取ったのです。
いつも緊張しすぎていたのが、その時はいい具合にほぐれたのでしょう。
この話から私がお伝えしたいのは、ハプニングなんてとらえ方次第だと言うことです。
何かあっても「ちょっと面白くなってきたぞ」くらいに思って、試験そのものに集中をしましょう。
緊張がほぐれてかえって良い結果になることがそういう場合多いのかも知れません。
だから、ハプニングなんて起こったって大丈夫なんですよ。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしてまいります。