学校課題と定期テスト
最近の中学校や高校では、定期テスト前に副教材の課題を出してテスト当日などに提出させる学校が非常に多くなっています。
これは生徒たちが、テスト対策といっても「何をしたらいいかわからない」ため放っておくと何もできないという傾向が強いと学校側が考えて、いわば親心で設定をしているものだと思います。
もう遥か昔になりますが、私が中学高校の頃はあまりこういう宿題の出され方はされていなかった気がします。
自分で工夫して学習をしたい生徒にとっては誠に余計なお世話になってしまいかねない課題です。もし私が今中学生だったら、たとえば英単語や漢字をこれだけ書いて出せという課題や、自分が楽勝で解ける数学の問題を膨大にやらなくてはいけない課題などは、さぼってしまっていたかもしれません。
正直テストへ向けて得点を上げるという観点からは無駄が多いからです。
しかし今やこういう課題の提出が内申点と言うもので縛られていて、提出をしないだけで平気で内申点は1~2下げられてしまいます。努力が足りないというのです。
馬鹿馬鹿しい限りですが、学校の先生も評価を点数というもので提出しなくてはいけない以上仕方がないところかも知れません。
しかしくだらない作業の課題は出すべきではないと思っています。
期日前になかなか終わらない生徒たち
以上はむしろ自分で対策勉強を進めたいという生徒に関しての話ですが、逆になかなかこういう副教材の課題がやり方が悪くて終わらないという生徒もたくさんいます。むしろこちらの方が今は多いかも知れません。
まず課題を試験当日に出せば大丈夫という気持ちから、最初から課題を一回やればテストであり、それでテストの点が取れるんだという大きな誤解を持ってしまっています。
だから自分としては、たとえば数学の友などを何も見ないで丁寧に解き、どんどん時間がかかり、間違っていた場合にはよくわからず解答を写し、テスト日前日にようやく完成して、当日提出。
しかしテストを受けてみると、やったはずの問題が良く分からなくなっていたり、ただ解答を写した問題は当然できなかったり、数学の友をやったことで色々な新しい情報が頭に入ったためかえって錯綜して、できた問題を落としたりして散々な結果になったりします。
生徒や保護者の方に話を聞くと、「宿題は必ず丁寧にやって出しているのに点数がとれない」という事になりますが、冷静に見ていると、それは当たり前ということになると思います。
なぜならば、一回通り問題を解いて答えを確認するということでスイスイ得点が取れる人と言うのは、すでに過半を十分に理解していて仕上げとしてそれをやっているような人なのです。
今から範囲について学習を進めていこうという場合にそれをやっても、頭の中に体系的にそれが入るというわけではなく、また自分にとって、できるかできないかの強弱も良くわからず、全体図がぼやけているので、更に霧が深くなるということが多々起こりうるからです。
簡単に言えば繰り返しが全くないから、手も足も出ず、ただ「提出した」というご褒美が学校の先生の「内申点を落とさない」ということによってもたらされるだけという事になります。
得点力がない理由
内申点ばかり良くて得点力がないという生徒には、実はこういうタイプの生徒が多いような気がします。とにかく丁寧にやり提出をするが、テストになると解けないという事態は、実はこういう副教材の大量な宿題というものが背景にあると思います。
「自分の学習」について考えてそれを行うという機会がほぼ失われているのです。
得点力を付けるためには、自分の弱点の所について「どうしてこれが解けないのか」ということを主体的に意識することが必須ですが、課題を平板にやって行っても「たまたまこれはできなかった。解答を見たから大丈夫」で話が終わってしまいます。
それでいつまで経っても、同じタイプの問題ができないという仕組みができあがるのです。
課題の合理的なやり方
副教材に限らず課題を合理的に消化していくための方法があります。
これまでにも何回か書いてきた方法ですが、それは「まず解答書を読む」というやり方です。
「解く」のではなくまず問題と解答書を照合して解答書を読むのです。
「この問題はどう解くのかな?」という感じで見ていきます。
そしてある程度理解をした後で、問題を解きます。そして自己添削をして間違ったところについて間違いの理由を再度確認します。
そしてこれは情報を体系化して入れていくために、一問一問やるのではなく、まず全範囲解説書を読了してから、次に解答に入って行った方がよいでしょう。そうすると「読んだばかりで覚えてしまった」ことを一回記憶外におけるため、記憶の喚起の練習ができるからです。
逆に自己添削は一つずつ解いた後やった方が良いです。自分がどういう経緯で解答したかを覚えているうちに間違いがわかれば軌道修正をしやすくなります。
このやり方の優れている所は、解説書を読む際に1回、解答で1回、自己添削で1回、合計3回通り学習ができる点です。
通常の問題を解答してから解説書を読み添削する方法だと、2回通りできると思いがちですが、実は解答する際には白紙で臨んでいて、解答書を見る際に学習するように見えて「ああそうか」で終わっている場合も多いので、実質0回に近い事態が起こっている場合があります。
実質的に「頭に入って消化される」ということが起きていなければやっていないのと同じなのです。
何よりも時間がかかりません。大体初手から問題を解いていると、わからない場合にはじっと問題を見たり、適当にわからないまま解いてしまっているので、相当時間が無駄になっていますが、最初に解説を読んでから解くと、わからないなりに手掛かりが頭に入っているので倍速近いスピードで解けます。
全体で言えば相当時間が節約できます。多くの課題に時間がかかる生徒を見てきて、時間がかかる原因は、よそ事をやっていたり集中できないという事もありますが、そういうのも大体は解法の手掛かりがなくて嫌になるという事が実質的な理由であることが多いようです。
だから手掛かりをつかめば時間は必ず短縮できるというわけです。
高校生の参考書で有名なチャートなどは、この発想から解説を読み通すという学習ができる優れた教材だと思います。
高校生の中にはチャートをやる際にも解説を隠して最初から解いていたり、学校の先生がわざわざ解説を見せないような形で宿題化していたりすることがありますが、完全にチャートの使い方を誤っているような気がして残念に思ったりします。
勉強に無駄な時間がかかると「ああ長時間やった」と言う風な勘違いで二重に本人が森に迷う事があります。
一番良いのは、簡単で合理的な学習法を常に選んで学習するという事です。
それはちょっとの工夫でできることです。
ぜひ一度考えてみてください。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。