受験で一番大事なことは何か?
受験については色々注意していかなくてはいけない事があります。
試験に出ない事をやらないという事はもちろん、インプットを合理的に行うというような事は多くの人がやっている事だと思います。
しかし「入試」という言葉が重くのしかかり、「難易度が高い試験である」という先入観がどうしても生じがちで、そのために道を誤ってしまう事も多々あります。
でもそれは「入試」についての大きな誤解です。「入試」は「難易度が高い試験」ではありません。
もちろん難関高校や難関大学の受験であれば相対的にレベルの高い出題がされることがありますが、それでもすべて難しい問題ばかりになったりはしません。
むしろ思考を試される問題や本当の基本がわかっているかを確認するような問題が出る事もあります。
そういう意味で「入試」は「難易度が高い問題もある試験」に過ぎません。そしてその裏には「平易な必ず取るべき問題をきちんとできるかが試される試験」という重要な意味が隠されていると言えます。
入試数学は目指す得点により対策が全く異なる
今は受験シーズン真っ只中です。いよいよ受験本番という方も多いかと思います。
入試問題ですのでどの科目についても、なかなか思うように正解へたどりつけず、「このまま試験を迎えても良いのだろうか」と悩んでいる方もいると思います。
そして特に数学については、苦手意識を持っていなくても英語と同様他の科目より素点は低くなりがちです。
難易度が中程度以上の問題が、基本問題とは別に次々に出て来るため、やり方を誤ると、非常に危険な得点にもなりかねないという特徴があります。
また高校入試の数学は、基本の問題から並んでいるのが普通ですが、後半に難易度が高い問題が出てきます。そしてそれをしっかり網羅的に解いていくと、時間はかなりぎりぎりになります。
数学ができる生徒ほど、時間は足りなくなってしまうという傾向があると思います。逆に数学が苦手な生徒は、難易度の高い問題はお手上げの場合も多く、試験会場で時間を持て余すこともよくあるようです。
このように数学の問題では、テスト内の問題間の難易度に大きな差があるのが通常のため、得意な生徒とそうでない生徒では有効な対策の方法がかなり異なります。
目指す目標点による対策の違いと言ってもいいかも知れません。
数学が苦手な受験生の対策方法
こういうと変に思われるかもしれませんが、数学の入試対策は数学が苦手な生徒の方がやりやすいという面があります。
受験では、その生徒の持っている実力と内申点を背景に勝負をすることになりますが、数学が苦手な生徒は数学で高得点は狙う必要がありません。
いわゆる「守りの受験」をすることで乗り切ることを考えればよいのです。
そして数学は、他の科目と異なり「守りの受験」をすると決めたら、かなり簡単にこれを行うことが可能です。
というのは、数学の出題ではほぼ例外なく最初の部分に基本的な問題を出してきます。
多ければ小問で10問題くらい出る場合もあります。試験によっては、半分近くが基本問題ということもあります。
ここをきちんと正解することで、相対的に安定した得点を得ることができるからです。
人間心理の落とし穴
仮に半分基本問題であっても、残りの半分にかなりの難問が続くと、人間の心理というのは面白いもので、終わった後受験者は「難しい試験だった」と言ったりします。
また受験問題の速報なども、出題された難しい問題にスポットを当てるため、前半にある易しい基本問題のことは忘れているかのようになることが多いのです。
何が言いたいかというと、難易度の高い問題に目を奪われず基本問題を確実に取れば、高得点を狙う必要のない受験なら、数学は容易に切り抜けられるということです。
また、普通に考えて難易度の高い問題の配点は高くなるような気もするのですが、実際にはそんなに格差はなく、ごく基本的な計算問題と複雑な図形問題の配点が同じということも実は珍しくありません。
この事に気づく生徒は少ないのですが、これは難問で時間をかけて一生懸命解いた1問と、軽々と解ける1問の比重が変わらないということでもあります。
だから高得点の必要がないのなら、難易度の高い問題は捨ててしまってもいいのです。その分基本的な問題にゆっくり時間をかけて取るというのがこの場合の戦略です。
計算問題の誤りが多く出るのは、時間が切迫しているという意識と速く解こうとする気持ちが原因となる場合も多いのです。
最初から割り切って「基本計算問題のみをやる」くらいの気持ちで取り組めば、正答率はかなり上がります。これはかなり有効な対策だと思います。
数学で勝負する受験生の対策方法
ところが数学で高得点を取ろうとする場合には、話が変わってきます。基本問題だけでなんとかなるわけではなくなります。
たとえば、①基本問題30、②中位の問題40、③レベルの高い問題20、④難問10という配分だとすると、①+②で30+30は確実に取り、それに他を上乗せする必要があります。
ここで受験者の前に立ちはだかるのが、「時間」という壁になります。
上記のように高得点で勝負をかけない「守りの受験」の場合、「時間」にはかなり余裕があるのですが、高得点を狙う場合には「時間」配分がとても大切になります。
時間が足りないときに足をすくわれるのは?
ここで、受験生は時間との戦いに入るわけですが、
試験時間が主観的に足りない時に、受験生が必ず思ってしまう「危険なキーワード」があります。
それは「簡単な問題を早くやってしまおう」という心の中のつぶやきです。
数学は割と得意な生徒は、難易度の高い問題はともかく基本問題などはスイスイ解けます。だからこう思うのも無理からぬことです。
しかし私の経験では、数学が得意な生徒が重要なテストで一番思わぬミスをして失敗をする問題は、「基本問題の1番」なのです。
数学の「基本問題の1番」なんて、高校入試と言ってもたとえば 1-3×5 なんていう問題です。得意な生徒がミスをするような問題ではありません。
しかし、早く難易度の高いところへ進まなくてはならないという焦りが、こういう所でのミスを生むのだと思います。
大変難易度の高い後半の問題を見事正解した生徒が、解答速報を見て、1番の基本問題の間違いに気づいて青くなったというようなことを、これまでに何回となく見ています。
まさに「足をすくわれる」ミスです。
高得点の勝負の場合には、失点を少しでも少なくする必要がありますが、問題間の配点が同じくらいの場合には、せっかく難易度の高い問題で1点とっても基本的な問題で1点落としてしまえば、無駄な努力を時間をかけてしてしまったということにもなりかねません。
逆に基本問題を常にパーフェクトに正解していけば、得点に波が出ることが少なくなってきます。
言い古された言葉ですが「基本が大切」というのは、まさに数学が得意な生徒に対する金言だと思います。
受験時は平常心を持てないことも多くなります。
「数学の入試で大切なのは基本の1番」ということは、この時期だからこそ覚えておいて損はないと思います。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。