【易しい量子脳】「粒子と波動の二重性」は左脳と右脳の役割分担とつながっている?

量子脳理論

 量子脳理論については以前も何回か記事を上げましたが、脳の働きや意識の働きにおいて量子力学的な効果が深くかかわっているのではないかという考え方の総称です。

これだけは何を言っているのかわからないと思いますので、その中でも最も有名な、イギリスのノーベル物理学賞受賞学者ロジャー・ペンローズとアメリカの医学博士スチュワート・ハメロフの理論を元に説明します。

 この話では、まず意識は素粒子(量子)という世界のどこにも遍在している極小の粒の中にあるという事が話の前提になります。この世界のすべてが量子という最小単位の粒で成り立っていると考えれば、これは当然のことです。

 そして、この量子というもの、電流や電磁波や光などを介さず、お互いにペアになっている別の量子と瞬時に情報を送受信できることがわかっています。言ってみれば瞬間情報伝達ができるのです。これを量子もつれと言います。

 意識が入っている量子が具体的に何処にあるかは確定できないのですが、少なくともそのペアの量子は人間の脳に普段はあって、意識が生じるとそれが瞬間にその脳内の量子に情報として伝達がされるのではないかということが量子脳理論の核心部分です。

 誤解を恐れずわかりやすく言えば、意識の入っている量子がサーバーのPCだとすると脳内にある量子がそれを頭脳というPCに情報を入れるためのWifiルーターのようなものであると言えるかもしれません。

 このような考えによれば、推論として、いずれにしても意識自体が存在している場所は脳ではないのではないかという話になってきます。

 臨死体験などの際に人の意識が身体から抜けて部屋の上空から自分の身体を見ていたというような話も、Wifiルーターである量子が臨死において体内から抜けて遥かな意識自体が収容されているもう一つの量子の元へ戻ろうとする過程として説明ができます。

他にもいろいろな事と整合性をもって説明ができるものが実はあります。

自由意志はない?

 有名な生理学者ベンジャミン・リベットの実験によると、人が意思決定する0.5秒前にすでに意志が決められて身体に指令が出されていたといわれています。いわゆる、人の自由意志否定論です。

私たちは自分が任意に何かを考えて行動に移していると感じていますが、実は自分が意思決定をしたと思っているよりも以前に、脳(量子脳)が意思決定を下している可能性があるのです。

以前これについては、実際にそうではないかと感じることができる実験方法を記事に上げましたので、興味のある方はこちらもお読みください。

このような事も考え合わせると、世界のどこかにある意識の収納された量子から、思考の指令が私たちの脳内の量子に伝わってきた結果、実際に私たちが思考しているというのも、あながち的外れでもない気がします。

二重スリット実験

 さて今回のテーマを考えるためには、まず「粒子と波動の二重性」について知っておかねばなりません。

最近ではご存じの方も多くなってきているかと思いますが、これは二重スリット実験で証明された理論です。

物理学で、光路差が光波の整数倍になるかどうかで明線・暗線を観察して考察する「ヤングの光の干渉性の実験」という実験があるのですが、二重スリット実験は、その光の代わりに電子を使って粒子と波動の二重性を証明しました。

 量子力学を代表する実験でアメリカの物理学者リチャード・P・ファインマンがこれを「量子力学の精髄」と呼んだことでも有名です。

この実験により、観察者次第で同じものが波動から粒子へと振る舞いを変えるということが証明されました。

具体的な実験の過程はここでは割愛しますが、「粒子と波動の二重性」を証明したこの実験は、光などが粒子の性質と波の性質の双方を持っていて、誰かが観察すると普段は波にしか過ぎないのに突然粒子として現れることが分かったため、世界に衝撃を与えたと言われています。

 二重スリットの実験は、極端な表現をすると、世界は、私たちが観察していない間はもやもやした形のないものだが、私たちが観察した瞬間に机、花瓶、ねこといった形のあるものになる、というような、「この世界が仮想現実である」という考えにつながる実験です。

 量子力学は、従来のニュートン物理学ではわからなかったことを次々と解明していっています。

右大脳半球と左大脳半球の役割分担

 ここで人間の脳について右脳と左脳と言う二つの部分の役割があるという見解(右脳・左脳説と呼ぶべき考え方)について説明します。

脳科学的には、人間の脳において言語中枢が、90%以上の人で左の大脳半球に局在していたということが知られていて、このことから左大脳半球を「優位半球」右大脳半球を「劣位半球」と呼び、左半球は、右半球よりもはるかに分析的で詳細であり算術的であるという特徴があることが分かっているようです。左半球はいわば脳の「言語半球」とも呼べるべきものです。

 この話から左脳が理論をつかさどり、右脳は感性をつかさどるなどと言われて、血液型占いのような感じで、右脳と左脳について世間ではいろいろな形で取り上げられています。

ただ、科学的に見るとこれは、右脳と左脳の違いを少し極端に伝え過ぎているのではないかとも言われています。

例によってメディアが無責任に右脳派とか左脳派みたいな取り上げ方をして流行した時期があったように思いますが、実際には人は脳を片側ずつ使ったりはしないので、そんなに単純なものではありません。

 アメリカのノーベル賞学者ロジャー・ウォルコット・スペリーの研究で、左大脳半球と右大脳半球を連絡する脳梁(のうりょう)を切断する手術を受けたために左右の大脳半球が切り離されてしまった「分離脳患者」に対して実験を行った結果、左右の大脳半球は独立して働くことができる事や脳の場所ごと役割分担が違い、脳機能の左右の違いがあるということが判明しました。

これが右脳と左脳の違いという話につながっているのですが、占いのような全人間的な話ではなく、単に器官の一部の働きということであることには注意が必要です。

右脳と左脳

 ただ、こんな話があります。

 アメリカの神経解剖学者であるジル・ボルト・テイラー氏は自身が脳卒中に倒れた際に、左大脳半球の機能を失い、その後8年を経て回復を果たしたのですが、その際の体験談を「奇跡の脳」という著作で紹介しています。

動画サイトでご自身が体験談をスピーチしている動画もありますので、興味がある方は検索してみてください。

 簡単にその話の内容を要約すると、右大脳半球(右脳)だけが機能する状態になってしまった彼女は、字も読めず数字もただの形にしか見えなくなってしまっただけでなく、

すべてが量子レベルの粒に見えるようになってしまって、自分の体と外界との境界線が分からなくなってしまいます。ただエネルギーの塊の形ですべてが見えたのだと言います。

そしてこの時彼女は、自分が巨大な広がりを持つ存在であることを認識して、大変な幸福を実感したというのです。

 にわかには信じがたい話ですが、これが本当であるとすれば、右脳には個別に分離された人間の意識を超えた潜在意識の深い部分が、脳の外のどこかにある量子とつながりを持った量子(深層意識的な量子)として収納されているのではないかということになります。

この事例では、脳の片側の機能が一時的に失われた結果強制的な分離脳状態に陥ったため、より右脳と左脳の真の役割がはっきりと表れたのかも知れません。

 抽象的に言えば、私たちの意識の底にある集合的無意識が右脳に収納(正確には、意識のある量子とペアの量子を収納)されていて、そうではない部分の分離された個体としての意識が左脳に収容(こちらも正確には、意識のある量子とペアの量子を収納)されているのではないかということが言えそうです。

 *集合的無意識についてはこちらの記事をご参照ください。

そして更に冒頭でご紹介した「粒子と波動の二重性」と絡めて考えてみると、このジル・ボルト・テイラー氏の体験した右脳だけで見た境界線のない世界こそまさに「波動」の世界ではないかという事が言えるのではないでしょうか。

 分かり易く言うと、右脳は世界を波動としてとらえていて、そこでは世界がつながりを持っている感覚を人も持つことができるのですが、それだけは人は行動ができないため、顕在意識の部分では左脳が活躍して、この部分で人は世界を粒子で構成されるものとして見ているのではないかということになるのではないかと思われるのです。

 そうすると、いわゆるスピリチュアルで言われるワンネス(世界は1つ)という考え方は、この右脳を通して見た潜在的無意識の世界(すべての人間に共通する波の認識)というところにあるのではないかと思われ、これらすべての話はつながりをもって理解できるように感じます。

 段々話が大きくなってしまいましたが、いつも願うのは、脳神経科学と神経解剖学、量子力学などが、以前と比べて飛躍的に大変素晴らしい発見や研究を進めてきている現在「それは神経解剖学的には正しい分析かもしれないが、脳神経科学ではナンセンス」というようなセクショナリズムによる対立ではなく、互いに有機的な連携をして大きな視点でこの世界の真実を解明していってほしいということです。

そうすれば近い将来、意識や世界の本当の姿について、もっと具体的にわかってくることがたくさんあるでしょう。大変楽しみです。

このブログでは、ネットを検索しても専門用語ばかりで意味が分からないという方のために、「要はこういうこと」というような形で量子力学を始めとする最先端の科学などについて説明を試みています。

誤解を恐れず大胆に記述をしている部分もありますので、もしも疑問に思われる点があれば逆にご指摘いただければ有難いです。

今後も皆さんのお役に立つ記事をアップしていきます。

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