捲土重来
私が旧司法試験を受験していた頃
論文試験に落ちるたびに、予備校のパンフレットにいつも書かれていた言葉があります。
それが「捲土重来 (けんどちょうらい)を期そう」です。
捲土重来とは、一度失敗した人や負けた人が非常な勢いで巻き返しをすることを言います。
「土を捲って(まくって)重ねて来る」と言うことで
いったん負けて逃げて行っても土煙を上げて再び逆襲してくるイメージからできた言葉だと思います。
唐の詩人である杜牧(とぼく)が『題烏江亭』という詩で、「項羽と劉邦」の戦いで、負けた項羽について「もし巻き返しができたらなら・・・」という内容で使った言葉が由来とされているようです。
予備校のパンフレットの言いたいことは、単に「来年もがんばれ」ということでしたが
この四字熟語は、そんな試験に落ちた人を励ますだけでなく
逆転をするための励ましのスピリットにあふれる言葉のような気がします。
そもそもの由来が、圧倒的な実力を持ちながら劉邦に負けた項羽のことを惜しんで書いている詩の一節であることをみても
「決して負けるはずはなかった。やり直してほしい」という思いが込められていると思われるからです。
項羽は劉邦に負けて死んでしまったので、実際には捲土重来はできませんでした。
しかし、私たちは何か失敗があっても
生きている限りやり直しは必ずできます。
常に今が勝負の始まり
最近は世情が落ち着かず
大人だけでなく子どもを取り巻く環境もどんどん変化しています。
先のことがこれほど読めなくなる時代が来るとは
誰も思っていなかったのではないでしょうか。
そんな時代においては
何か1つのことで負けがあっても
別のことで巻き返しを図ることを考えていくことが大切になってきます。
今や誰もが安泰の保障されたコースをゆっくりと生きていくことは難しくなってきたからです。
しかし寿命が伸びて人生100年時代が間もなく到来するとも言われています。
そんな時代には、焦らずに
「1つ負けたら別のことで勝つ」
あるいは「4つ負けたら5つ勝つ」
というような巻き返しの発想が必要になるかもしれません。
言い換えると
「常に今が勝負の始まり」なのだと考えてみてはどうでしょうか。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。