新しい学習指導計画案
文科省は、長期にわたる休校で学習の遅れが心配されるため
教科書の学習内容を「『授業』で学ぶものと『家庭学習』で学べるものに仕分けした」新しい学習指導計画案を作成するという報道がありました。
ただし、学習内容自体は減らさないということです。
先日来、長期の休みで宿題に出ていたところは、すでに学習を済ませたような扱いで、次の単元に進んでいる学校があるのを見て違和感を覚えていましたが、
この報道を見て納得をしました。
どうやら「家庭学習で補えば、学習の遅れは調整できる」という考えのようです。
だから、授業でしっかり説明をしていない内容でも「プリントを家でやらせたからOK」というような措置が、これまでも行われてきたのですね。
宿題だけでできるようになる生徒はごく一部
学校で単元の指導内容の説明を受けて、宿題を出されても、その流れの中で不明点がわいてくるのが普通です。
よほど内容をつかむのが早い生徒や、予習をしてある場合は別ですが
実際に問題を解く段階での混乱は、必ずと言って良いほど起こります。
詳細は分かりませんので、はっきりしたことは言えませんが、
「授業をやって宿題を出したから大丈夫」というような考え方が背景にあるとすれば、それが生徒にとって不利益を生む可能性は大きいように思います。
このような指導の進め方や、
「生徒は努力して理解してくれるはず」
「やる気を持って家庭学習で理解すべき」
という指導側の勝手な考え方がなかなかなくならないので、
私たち塾が常に必要とされてしまっているのです。
形だけ整えて「指導内容をやったことにする」ということにならないことを祈るばかりです。
文科省のお役人になるような方は、家庭学習だけで十分理解ができた人達ばかりなので、ひょっとしたらこの話の意味がわからないかもしれませんが・・・。
どう対応していくか
今回の計画では、家庭学習を指導の一環として見てくるということになりますので、宿題の位置づけも変わってきます。
補強というよりも、ある意味授業とも並ぶ位置づけになってくる訳ですから、
普通に考えて、成績評価における家庭学習の評価の意味が大きいものになってくると思われます。
だから宿題をやらないとか提出しないというのは、
ただでさえ期間が短く、成績評価をしてもらえる機会が少ない今年においては、かなりのマイナスになるのは間違いありません。
しっかり出されたものをやることは必須です。
でも、授業内で学んだことを演習などで確認していく時間が、これまでより少なくなるはず(だからこそ家庭学習部分を仕分けすると言いだしている)なので
宿題をやる段階でわからないところが出てくる可能性も高くなります。
そんな時は、宿題の提出の仕方を工夫することも必要です。
「できないこと」「やれること」を確認する先生がわかるようなやり方をして、改めて学校の先生に質問をするようにするのが良いと思います。
そうすれば、できなかった宿題を通して先生に自分の積極性を知ってもらえますし
何より、分からないところと分かるところを自分で確認をする習慣ができます。
塾でも宿題を出しますが、分からないことがある場合に宿題を白紙で出す生徒がいます。
生徒によく話を聞くと「30分も宿題を見ていた」というようなことを言ったりする者がいてびっくりするのですが、
白紙で出された場合、学校の宿題においてはそんな事情など先生は分かりようがありません。
途中式でも良いし、考え方でも良いのです。何か書き込みをして出すだけでも全く異なります。
家庭学習の評価においては、結果として紙面しか教師は見ないので、紙面に表れないことは評価されないということを生徒は知る必要があります。
こういう白紙の宿題を見ると、先生はただ「やる気のない生徒」「意欲C」とするしかないのです。
ちょっとしたことで評価は大きく変わってきます。
もちろん勉強は評価のためだけにやるものではありませんが、「家庭学習」という学校の先生が実地に見ることのできないものを、評価の対象に置く割合が大きくなると言うことであれば
生徒側も自衛の策を取っていく必要は、やはりあるのだと思います。