「成績を上げない方法」はまだまだある
前回「絶対に成績を上げないための2つの方法」という記事を書きましたが
http://wizzseiun.com/2020/06/09/dont-do/
絶対にとまで言えないレベルであれば、成績を「上げないための方法」は、他にもいくつもあります。
今回はその1つをお伝えしたいと思います。
人間は「こうした方が良い」と言われてもなかなかできないことも多いですが
「これはやっては危険」ということなら守りやすく
そういうことから反面教師として何かを学ぶことは
意外に役に立つのです。
勉強は「暗記すること」だと信じている
成績を絶対に上げられないわけではないですが、
よほどの暗記力がない限り、次第に成績を上げられなくなる事例として
勉強は「暗記すること」だと信じている生徒の例が挙げられます。
たとえば国語の熟語の学習で、「重箱読み」というものがあります。
二字熟語の上の漢字が音読みで下の漢字を訓読みする組み合わせの読み方を言います。
どの熟語がこれにあたるかというのを聞かれる訳ですが
「現場」「両脇」「駅前」・・・
というように該当する熟語を最初から覚えていこうとする生徒がいます。
音読みと訓読みの区別がよくわからないということから
この単元ではそういう生徒を見かけることが少なくないのですが
学校の先生がたまたま教科書やワークに出ているものだけから出題すればいいですが、初見の熟語であれば対応が難しくなってしまいます。
またそもそも「重箱読み」が反対の読み方(上が訓、下が音)をする「湯桶読み」と混乱している生徒も多くいて、自然最後は暗記となってしまっているように感じます。
暗記しても大した分量ではないかもしれませんが、よくわからないものを暗記していくというやり方はいずれ破たんします。
学習する情報量が増えてきたときには、暗記だけでは対応はできなくなるからです。
これは断言できますが、暗記の天才=優秀な学習者ではありません。
学習の根底は「考える」ということにあります。
そのうえで周辺事項を暗記していくというのが基本的なやり方です。
そして今後AIの発展で暗記などの記憶は機械に任せる時代が到来するだろうということも、以前記事にしました。http://wizzseiun.com/2020/06/07/ai-2/
暗記だけに頼る学習は今後より重要度が低くなっていくことでしょう。
どうやって考えるか
ではこの場合、暗記を最小限にして学習するにはどうすればいいでしょうか。
まずここでは、「重箱読み」「湯桶読み」という言葉に着目します
「じゅうばこ」の「ジュウ」は音読み、「はこ」は訓読みです。
「ゆとう」の「ゆ」は訓読み、「トウ」は音読みです。
これを知っておけばその読み方の意味することは暗記が不要です。読み方の名称について覚えておけば足ります。
次に、熟語を見たら漢字ごと読み方を複数挙げてみます。
「現場」の「現」なら、「げん」「あらわ(れる)」
「現場」の「場」なら、「ば」「じょう」
といった具合です。
その上でどちらが「音」でどちらが「訓」かを選択すれば、その場で読み方を判別することが容易にできます。
ただ「音」と「訓」の区別自体がよくわからないという場合はさらにそこからやり方をマスターする必要がありますが、
これは今回のテーマからは外れますので詳しくは触れません。
暗記に頼る学習の問題点
暗記に頼る学習にはいろいろな問題点があります。
まず人の脳が情報を記憶しておくキャパシティーは有限であるということがあります。
たとえば極端な話、小1~大学程度までの学習する教科書のデータを全部暗記すれば、勉強はできるようになるかもしれません。
でもそれは到底無理なことです。機械ではないのですから。
また私の考えでは、それが仮に可能としても
「考える」ということを主体に学んだ人よりも優秀には決してなれないと思います。
記憶する情報自体はアイテムに過ぎず
その組み合わせを考えていくことが思考だからです。
そして暗記に頼る学習の最も大きな問題点は、考えるということをしなくなることです。
以前、英語が苦手な生徒がテストの直しをしているのを見ていたら、
一生懸命答えの英文を書いて覚えているので理由を聞くと
「答案を毎回、書いて暗記している」というので大変驚いたことがあります。
その生徒はその作業をずっと続けていましたが
「なぜこの語順になるのか」
「HeがTheyになったらどうなるのか」というようなことは一切考えていなかったため
一向に得点は取れず
さらに暗記した英文を元にして(それも不十分な暗記)解答を考えていくので、ひどい混乱をしてしまっていました。
「勉強は『暗記すること』ではない」ということを理解してもらうのに時間がかかりましたが、やり方を変えて行ったらすこしずつ変化が出ました。
普通に一生懸命学習をしている生徒にも、こういうとんでもない勘違いをして学習をしている生徒はいます。
周りの人間が気づいて早くアドバイスをしてあげることが大切だと思います。