前の単元の内容を忘れてしまう
単元テストが単発で行われる場合に、一生懸命その単元の勉強をしてテストを受けた後
その前の単元の内容をすっかり忘れてしまっている生徒がいます。
後から慌てて思い出したり練習をしたりして、混乱を防ごうとしますが、
複数の単元が出るテストであったり、単元テストが連続的に実施されるような場合には
一部単元の知識がすっぽり抜け落ちていると、得点自体が取れないということも起こります。
すべては、前の単元の内容を忘れてしまうということが原因ですが
どうしてこのような事態が起こるのでしょうか。
集中学習をすると別の分野の記憶は曖昧になる
これは、特定の単元について集中学習をしたときには、その反射的な効果として別の分野の記憶が曖昧になることが原因にあると思います。
たとえば中学校の数学の場合を例に挙げると
教科書の最初の単元が「式の計算」の場合が多く、次の単元が「方程式」になっていることが多いのですが、
この二つは似ているようで、実は考え方が異なる学習の要素を持っているものですので、相互に混乱を生みやすい学習です。
生徒たちは方程式の学習を一生懸命やって、小数や分数の場合のやり方もマスターしてテストを受けます。
でもそんなときに、テストの一部に前単元の「式の計算」を数問入れてあったりすると、大変なことが起こります。
方程式のやり方でそれを解こうとして、ミスが出るのはもちろんですが、
やっているうちに前単元を中途半端に思い出して、途中から方程式のやり方もわからなくなってしまうという事態が生じることがあります。
そしてミスだらけの結果となってしまったりするのです。
これは、何も数学だけに起こることではありません。
江戸時代の「武家諸法度」や「公事方御定書」を一生懸命覚えた結果
少し前に学習した鎌倉時代の「御成敗式目」と混乱したりするのを見かけます。
特定の単元向きの頭になってしまうため、それ以外のことが飛んでしまうという感じです。
そうして順に学習をしていくとどうなるかというと
一通り学習したのに、すべてが曖昧な知識になっていて、相互に混乱をしてしまうという結果が生じるのです。
そしてこういう傾向が大きくなると、
定期テストではそこそこの点数が取れるのに、範囲の広い実力テストになるとそれに比してかなり低い点数しか取れないということになります。
どうバランスを取っていくのか
そのようなことにならないためには、何らかの対策をする必要があります。
もちろんこれを完全に防止することまでは、なかなか難しいことだと思います。
ある程度集中学習をして特定の分野を仕上げるということが、どうしても必要な場合も多く
そういう学習があって実力がついていくという面も否定できないからです。
でも人によって、前単元の忘れ具合は明らかに違います。
そこそこ前のことを覚えている生徒とかなり忘れている生徒には、大きな差が見られます。
だから対策をすれば、これは防止できる類のものだと考えられます。
そしてこれは、学習をしているときの意識の違いから起こってくるものだと思います。
たとえば上記の歴史の例で言えば
「公事方御定書」を新しく習い定着していく際に
それを真っ白なキャンバスに記憶させていくから、前のことが飛んでしまいます。
「御成敗式目」が書かれているキャンバスに
それとの違いや比較を刻みつつ、追加していく意識で「公事方御定書」を記憶させていけばいいのです。
そうすれば前に習った知識は飛んでしまったりはしません。
新しい知識と絡めて、学習を積みかねていくことがコツです。
あくまでイメージではありますが、
これは、学習というものの本質とも関係する事柄だと思います。
学習を単線の線路のように考えると
過ぎ去ってしまった風景は、順に忘れてしまうことになります。
でも、お互いに短時間に往き来できる都市の鉄道網のように考えて
学習というものをその網目を細かくしていくようなイメージにすれば
思ったときに最短距離で、行きたい場所にショートカットできる訳です。
「網を広げて細かくしていく」そんなイメージで
新しい知識については、別の知識と絡めて吸収していくということがとても大切です。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。