同じ間違いを何回も繰り返す生徒
中学校の数学の方程式で、「移項」という学習内容があります。
中1ではちょうど今頃この単元の学習を始める時期かと思います。
X+3=6 という方程式を解く際に
X=6-3 という形で、項(この場合は+3)を他の辺に符号を変えて移動することを「移項」と言います。
重要な基本的事項ですが、学習してからしばらく経つと必ず次のような解答をしてしまう生徒が現れます。
3X=6 という問題で
X=6-3 という作業をしてしまうのです。
そしてX=3という誤答を導いてしまいます。
正しくは 両辺を3で割るので
3X/3=6/3 で X=2となります。
これは移項というのが適用される範囲が、加減(たし算引き算)の場合であるということをしっかり覚えていないために生じるミスです。
移項は、もともとの考え方が
「両辺に同じ数をたしても、同じ数を両辺から引いても、等式は成り立つ」という原理から来ているのですが
この間違えた解答では、
左辺は3で割り右辺は3を引いてしまって、違う作業になっています。
そしてこのミスをする生徒は、実は非常に高い確率で再度また同じミスをします。
類似していることをアバウトに覚えている
なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
この場合は実質的には、割るのと引くのを取り違えていることになりますが、
このように似たようなやり方をするものを、頻繁に取り違えている場合
生徒の理解の精度が、全般的に粗いのではないかと思います。
なぜそういうことがわかるかというと、質問した時の返答でわかります。
「移項ってどういうこと?」と尋ねた場合に
「忘れました」という回答の他に
「マイナスがプラスになる」と言った回答しか返ってこないことが多いと思います。
詳しく聞いても、問題を指して
「この数字がこっちへ行くとプラスになる」
という説明をするのが精一杯です。
そこで上記のようなXの係数がついている項についてのやり方を聞くと
ようやく間違いの意味に気づいて
「この場合はどうしますか?」と聞いて来たりするのです。
最初にしっかり理解をする。間違えたら早い段階で丁寧に確認をしておく
このように誤った理解をしたまま、何となく「こうかな?」という理解をして過ごしている生徒は実に多いです。
厳しい言い方になりますが
「学習の精度が粗くアバウトすぎる」
ということになると思います。
学習の最初にしっかり理解をすることを努めて、間違えたら
「こんなものかな」と思わずに
早い段階で丁寧に確認をして再び間違えないようにしておくことが重要です。
同じ間違いを何回かしただけの段階で修正した場合には、その後その間違いが出ないようになりますが
怖いのは、時間が経つにつれて、誤った理解がしっかり定着してしまうということです。
そうなると、なかなか直しにくくなります。
一番重要なのは学習の精度に対する意識を変えること
ここで実は重要なのは「自分の学習の精度が粗い」ということに生徒自身が気づくことです。
同じミスを繰り返す生徒は
「だいたいこれくらいでOKかな?」と思っているラインが低く設定されていることが多いように思います。
逆に「これくらいでは甘いかな?」と思うくらいの精度に意識を変えていくことが、このようなミスを繰り返さないために必要かと思います。
生徒は、他の生徒の学習を直接知ることができません。
だから、自分の精度が粗いのかどうかは実際はなかなか気づきにくいです。
また、教師は詳しいことを言うに決まっていると思っているので
教師から言われても自分の学習の精度が粗いことには気づきにくいのです。
だから、できれば普段から保護者の方が
「そんな大雑把なことでは間違えるよ」
というようなアドバイスをされると効果的ではないかと思います。
今後も皆さんのお役にたつ情報をアップしてまいります。