文章題を図に出来ない生徒
前回文章題の苦手な生徒は、問題のイメージを浮かべられないという話を記事にしました。https://wizzseiun.com/2021/01/20/step-2/
そこで、文章題を図に書けるようにするのが大切だということをお伝えしました。
でも実際には、
当然のことながら、文章題を最初から図に書ける生徒はほとんどいません。
一度は一から図の書き方を学ぶ必要があります。
小学校の算数の先生の中でも、丁寧に授業をやる先生は
「じゃあまずノートに家と学校と駅を書いてみて」と言う具合に、一緒に図を描いたりしますが
そういう作業はせず、黒板に先生が図を描いてそれを説明して
「さあ、問題をやってみよう」というやり方の先生の場合には、実は問題があります。
要領の良い生徒は、見よう見まねで先生が黒板に書いた通りの絵を描いて問題を解くことができますが、
やり方が十分にわからないまま、先生の絵を写すだけになってしまう生徒が生じてしまうことが多いと思います。
そして説明が進んで行き、生徒は、
「そんなものかな?」と思い、できたような気がしてそこで終わりにしてしまいます。
そして、家に帰って宿題でその問題をやろうとした時に気づくのです。
「あれ、やり方がわからない」
図を描いてみようとしても、上手く描けません。
どうやればいいのかわからないまま、次の授業を迎えます。
こうして一度も自分の頭で考えて問題文を図にする体験をできず
最後まできちんと解くことなく、次の単元などに進んでしまうため
いつまで経っても図が描けないという事態に陥ってしまうのです。
そして一旦こういう状況になってしまうと、文章題に苦手意識をもってしまうか
あるいは、図を描かずに頭の中で考えていきなり答えを出そうとしたりして
どちらにしても、正答をすることは難しくなってしまいます。
大人の思い込み
「図なんて簡単に描けるだろう」
多くの大人はそう思います。
また、小学生などでも自分が図を描けるようになると、
「何でそんなものが描けないのか?」と思うようになります。
しかしやり方がうまくつかめない場合には。描けない生徒は本当に全く描けません。
私は長い間、小学生にも中学生にも文章題の解き方をずっと教えてきました。
そこで気づいたのは、図の描き方はきちんと練習しないと、
センスやフィーリングだけでは、いつまで経っても描けるようにはならないという事実です。
私は指導の際には問題状況に合わせて、先程の例のように
「じゃあまずノートに家と学校と駅を書いてみて」
という所から順に一つずつ描き方を教えますが、
一通り教えたら描けるようになるかと言えば、
それは大間違いで、描けない生徒はそんなに簡単に描けるようにはなりません。
たとえば、中学校の速さの問題(方程式)であれば
図の中に、時間・速さ・距離の3つの要素を描き込まないといけませんが、
これがなかなかできません。
ある程度ほかのジャンルでなら図を描けるようになっている生徒でも
図を描いている時に、すでに問題文の「時速30km」が距離なのか速さなのかですでに混乱してしまったりして一向に描けません。
では実際に、速さの問題で式をきちんと立てられるようになる時は何時かというと
それは「図が完成した時」なのです。
図が完成した瞬間、話がすべてつながるため
どんなに方程式が苦手な生徒でも、そこから式もわりとすぐ完成します。
後は計算力の問題になります。
逆に図を完成させられない場合には、いつまで経っても上手く解けません。
このような事を考えると、文章題ができない一番の原因がどこにあるかと言えば
それは教師も生徒も「図を描く練習」を、独立したものとして想定していない事にあると思います。
普通に考えていく練習をすれば、なんとなく「先生が描く図」や「教科書に出て来る図」もいつの間にか描けるようになるだろうと思い込んでいることが、一番の間違いなのです。
文章題の本当の勉強のやり方
繰り返しお伝えしてきた通り、文章題を得意にするにはイメージを上手くつかめるようになるのが大切です。
でも、このイメージと言うのは
「なんとなく」では何時まで経ってもつかむことはできません。
やはり図に描いて見て、問題文の状況を頭の中でよく整理することが重要です。
人間の頭脳の特性として、一瞬で納得できるようなジャンルのものもありますが
ビジュアルにしないと、なかなか考えがまとまらないジャンルのものも多くあります。
文章題は、平板な文字と数字だけで書かれているので、
算数や数学が大好きという生徒でも、その文面だけから状況をイメージするのは普通は大変です。
そのような事がもし出来るとしても、それが出来るまでにはかなりの練習量と時間がかかってしまいます。
まして文章題に苦手意識を持っている生徒であれば、図を描かずに理解をすることは到底無理なのがはっきりしています。
実は「図を描くという事自体」が問題を解く一番重要な手段になっているからです。
よく先生が言う
「図を描くとわかり易いよ」という言葉が正確ではないのです。
正確には
「図を描かないと絶対できないよ」と言うべきなのです。
曖昧に図を描かない習慣のままでやっていては
恐らく文章題を楽々解けるようになる日は来ないでしょう。
つまり「図の描き方練習」をしっかり一からやらなくてはいけないということです。
文章題をできるようにする、きわめて有効な方法は
「できるだけ図を描くようにする」といった緩いやり方ではなく
一つの独立した学習と思って
正面から「図の描き方練習」をして、問題文のパターンごときちんと「図を描けるようにする」ということだと思います。
やり方を何回も繰り返し読み、描き、覚えて
そしてテストしてみて、
実際に問題文の文章から正しい図が描けるかを確認していきます。
その際には、まだ式も立てる必要はなく、増して答えを出す必要もありません。
図の描き方をひたすら練習します。
そして、何も参照しないで図が完成するようになった時にきっと
式がすぐ立てられることにも
意外にも、文章題は難しくなかったということにも
気づくことになるでしょう。
ぜひお試しください。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。