【高校受験社会】出題者がそれを出題する理由とは?

受験で出そうなところは?

 高校受験のシーズンです。

受験生の方は当然、どんな出題がされるのかについては大変興味をもっていることとと思います。

社会科は言ってみると暗記科目ですので

平板にどこからも出題があるような気になります。

しかし、出題を分析してみると

「あれ?ここはやけに出ているな」という所があります。

でもこれは偶然などではありません。

これには実は理由があるのです。

出題者の気持ちになって考えると

 入試でも学校のテストでも試験を作る人の心理はたぶんよく似ていると思います。

難し過ぎてもいけない。易し過ぎてもいけない。

見え見えの出そうなところばかり出すのもよくない。

かといって、マニアックな出題になってしまってもいけない。

試験を作るのはバランス感覚が重要で、意外に難しいことです。

 受験者側は出題者の批判をすることも多いのですが、

出題者が思いのままに作成できると思ったら大間違いです。

 あまりに変な出題をすれば、入試なら受験生や保護者はもちろんたくさんの先生たちからも批判を受けてしまいます。

場合によっては長年にわたって「あの年の出題はひどかった」なんて言われてしまうことだってあります。

 学校のテストでもそうですね。現に平均点が無茶に低いテストなどは相当話題になり、作成した先生への批判も起こります。

 だから、一部の例外を除いてほとんどのテスト作成者はバランスの良い出題をしたいと考えていると思って間違いないです。

私も塾内の模試などを作成するので、出題者の気持ちはよくわかります。

出題者はテストで何を見たいのか

 いろいろな要素があると思いますが、私なりの良い出題かどうかの基準を言わせてもらえば、

①真面目に準備してきた生徒がきちんと得点をできるような問題であること

それでいて

②単純にゴールにたどりつけてしまう問題ばかりではないこと

 というような感じになるでしょうか。

①は当然のことだと思いますが、テストである以上受験者の出来に差をつけなくてはいけません。

その意味で②も重要になってきます。

 ではどうすれば②の要件を満たす出題になるのでしょうか?

少し脇のところを聞いてみる

 長年いろんなテストをたくさん見てきた私の感覚では、

「メインのところから少し脇に入ったところ」

これを聞くということが、②の要件を満たす出題のための有益な方法のような気がしています。

例を挙げて説明します。

 中学の歴史で「日清戦争」の出題というと、生徒の頭にすぐ思い浮かぶのは「賠償」のことだったり「講和条約」のことだったりします。

これがいわば見た目「メインのところ」です。

 しかし出題者は「日清戦争」に至る世界状況を、生徒がどれだけ勉強しているかをむしろ聞きたいのです。単純な暗記だけの学習ではないやり方をしている生徒を評価したいからです。

 そうすると、自然と日清戦争が勃発したいきさつに関する出題が多くなされることになります。

 そしてズバリ何が聞かれるかというと、日清戦争のきっかけになった「甲午農民戦争」がよく出されるということになるのです。

 実際これはさまざまな試験で、かなり聞かれています。

 ところが、生徒のイメージは「何、それ知らない」「教科書に書いてあったかな」といった感じの印象が多く、だいたい軽視しています。

「これ出るよ」といわなければスルーしてしまうことも多いと思います。

 どうでしょう、出題者ならこれを聞くのは逆に当然だと思いませんか。

 皆が出るような気がしていないけれども、実は学習上重要で真の理解を問われるポイントなので勉強の深度を確認するにはもってこいの題材だからです。

これをわかりやすい表現で言ったのが、「メインの少し脇の所」を出題するという言葉になります。

出題の意図から考えてもそうなる

 もちろんここでいう「メイン」というのはわかりやすく説明するためのものであって、上記のように、パッと見た目のメインということになります。「脇」も見た目の脇に過ぎず、

 出題の意図からすると「脇」のほうが実は「メイン」なんです。

 これは歴史のテストがただの暗記テストではなく、歴史の流れを理解しているかどうかを見るということを意図している以上、偶然ではなく必然だと思います。

 歴史の入試では「あまり意識していないようなところ」なのに、やけによく出題される部分や言葉があります。

 江戸時代の「株仲間」だったり、近代の「加藤高明内閣」の「治安維持法と普通選挙法」などはよく出題がありますが、それには同じような理由があるのです。

これらはたとえば「江戸時代の三大改革」や「米騒動」のようなズバリ正面からのわかりやすい箇所ではありませんが、歴史の理解を見るにはとても良いポイントなんだと思います。

 だから教科書を読むときも、出題者の気持ちを考えてそういう目で「ここは聞きたいかな?」といった感じで進めていくといいのではないかと思います。

そういう一つ高い目線から学習を考えていくことは、実はかなり試験対策としては有効です。

 塾やネットで「ここが出そう」というような情報を集めることもいいですが

自分の頭でそういうことを考えられるようになれば、どんな試験においても対策を楽々立てられるようになりますよ。

 今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。

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