【修正する能力】逆上がり。あなたは最初からできましたか?

服のボタンを留めることができるようになった

 幼少時の思い出というのは、誰もがぼんやりとした霧の中に断片的に思い浮かべるようなものだと思います。

私も自分の一番最初の記憶が何かという

ベッドで寝ていた様子くらいしか思い出せませんが

 そんな中で、自分で服のボタンを留めることができるようになった時のことはよく憶えています。

何回やってもうまくはまらず、うまくいったと思ったら違う穴に留めたりして

試行錯誤をしたことを

なぜかその場面だけ昨日のように思い出します。

 今では目をつぶっていても、酒に酔っていても

暗闇でも、簡単にボタンを留めることができますが

そんな当たり前の作業でさえ

自分が練習をしてマスターしたのだということを

この記憶は私に教えてくれます。

できない事がどうやってできるようになったのか

 人には簡単にできる事があります。

その一方できない事もたくさんあります。

では簡単にできる事は、最初から簡単だったのでしょうか。

普通はそうではないですね。

できるようになるまでは結構苦労して

試行錯誤してできるようになったはずです。

難易度の大小はあると思いますが

これは共通でしょう。

 でも、そうやってできるようになったことを人は忘れてしまいます。

だから、何か新しいことにチャレンジする時も

「とてもできそうにない」と思ってしまったり

少しやっただけなのに

「この分野は自分は苦手だ」と思い込んでしまうのだと思います。

逆上がりと方程式

 逆上がりと聞いて皆さんは何を思い出すでしょうか?

 結局出来なかった人もいれば、簡単にできるようになった人もいると思います。

 しかし、何回も何回も鉄棒の前に立ち、勢いをつけて足を上げて、くるっと回ることができず苦労をして練習をしたことは、皆さん共通して覚えているのではないでしょうか。

 できるかどうかは、勢いだけでなく体を折り返す位置とタイミングが重要で、そのことをうまくマスターすればその後何回やってもできるようになります。

 では方程式はどうでしたか?

 最初見たときは「難しそうだな」と思ったのではないでしょうか。

しかし、両辺に同じ数を加減乗除すればいいことや、移項を覚えることによって、次第に答えを出せるようになっていきます。

 その途中、ミスが何回も出たことでしょう。

 でも繰り返して練習して、両辺にすべて同じ作業をしてなかったとか、移項の際に符号を変えなかったとか、自分のやったミスをチェックしていくうちにミスは減っていきます。

そして、やがて何回やっても間違わないようになります。

 こうしてみると、

運動であっても勉強であっても、「何かができるようになっていく過程」は同じであることに気がつきます。

仕事でも商売でも同じ

 何も運動や勉強に限った話ではありません。

仕事でも同じです。

指示を受けて初めて仕事をするときには、慣れないうちはミスだらけです。

どうすればそのミスを減らすことができるか、なぜ先輩たちはそういうミスがないのか

あれこれコツになるポイントを探り改善をしていくうちに、やがてミスがなくなっていきます。

 また、商売でも同じです。

 最初はお客様に商品が簡単に売れると思い込んでいますが、大体の場合そんなに甘くはありません。

 お客様のニーズは何か、商品に付加価値があるかどうかや、それに見合った価格設定ができるかどうかをはじめ多くの要素を研究していき、

やがて少しずつ売れるようになっていきます。

 学習や運動、仕事の場合は結果が出るのが早いですが、商売の場合は相手が人ですので、すぐ結果につながらないことが多いかも知れません。

しかし、試行→失敗→修正→改善 という流れで何かができるようになっていく過程は全く同じです。

 すべての局面で、このような「修正する能力」とも言える力がポイントになっていることははっきりしていると思います。

なぜ違いが起こるのか

 ではなぜ

運動は得意なのに、勉強は苦手

勉強は得意なのに運動はできない

勉強はできたのに仕事は全然できない

勉強はできなかったのに商売はとても上手

といった違いが生ずるのでしょうか。

 基本的には人間が持っている元々の個性や能力の違いがあるため、差が生ずるということだとは思います。

 たとえば、体が大きく筋力もある人とそうでない人ではレスリングをやれば、

上記のような修正力を持たない人でも勝ってしまうこともあるかもしれません。

 しかし体力が同じもの同士が戦った場合には

やはり修正力のある人の方が、最終的にはより強くなるのは間違いないでしょう。

 仕事でも同じです。

 同じようなキャラクターで能力も同等の人間が得意先に行って、なかなか契約を取れない場合に、どちらが上手く契約を取れるかは、もちろん運もありますが

相手のニーズと会社の利益を上手く考えて、交渉の際の「修正力」がある方が早く上手く行きやすいということになると思います。

勉強が苦手なスポーツマンに多い思考

 スポーツで大変優秀な成績を上げているスポーツマンが、勉強ができないというときに

よく感じるのは、スポーツでは発揮している「修正力」を勉強では全く使えていないということです。

 たとえば100m走が大変早い選手がいるとします。

来る日も来る日も筋トレをやり、スタートダッシュの練習をして記録を更新していきます。

 私も中学の時陸上部だったので感覚としてわかるのですが、

運動で結果が出たのは、練習量の成果だと思い込んでしまい

勉強も筋トレのようにとにかく量を猛烈にこなせば、「結果は自動的に出る」というような思考に陥ちがちになります。

 それで今日は単語を100暗記する、明日は方程式を100題解くというような方向に思考が傾きがちです。

 ところが真に100m走がより速くなった理由は、

スタートダッシュでけり出す力の配分や

飛び出すタイミング

序盤からの加速のやり方など

1つずつのアイテムを修正していった「修正力」が、実は大きな役割を果たしていることが多いのではないかと思います。

 その部分に目を向けないで、量の方に目が向いてしまっていると

自分の高い修正力を勉強では生かせないという結果になってしまいます。

 方程式で移項の際に符号ミスをたくさん出していても、

「繰り返して行きさえすればそれはなくなる」という意識でやっていて、

「どうして自分がそれをやってしまうのか」

「どこを気をつければなくなるのか」

ということを詳細に考える事をしないまま、繰り返してしまったりするのです。

 何事も修正力が重要で、力押しで物事を変えられる部分は

実はそんなにはないことに、気づかなくてはいけません。

 皆さんも何か伸び悩みがあることに気がついたら、

自分は「修正力」を上手く使えているかを振り返ってみるといいと思います。

意外に考えないまま、同じことを繰り返してしまっていることに気づくと思います。

 単純なことですが、

「上手くいかないことは、やり方を変えない限りはずっと上手くいかないままである」

 このことを改めて考えて見る必要があります。

 今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。

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