【中学国文法】意外に答えられない質問「ことばの単位って何?」

文法が苦手な生徒の多さに驚く

 中学国語の文法の学習については、得意な生徒が珍しいくらいに、苦手にしている生徒が多いのが実感です。

 このことについては「なぜなのだろう?」と長らく疑問に思っていました。

 あるとき生徒と話していて、気づいたことがありました。

 その生徒は品詞と文節が同一のものと誤解していたのですが

聞いて見ると「ことばの単位」という言葉を聞いたことがないというのです。

 不思議に思って、その後もよくいろいろな生徒にこの質問をしてみたのですが、ほとんどの生徒が答えられませんでした。

 「ことばの単位」というのは、実は文法の一番最初に出てくる学習内容です。

 数学や理科に単位が出てくるように、ことばにもその要素の大小による「単位」というものが存在します。

 大きい順に「文章・段落・文・文節・単語」というのが「ことばの単位」です。

 たとえば「km・m・cm・mm」のような「長さの単位」と比較してみてください。

その意味の理解がしやすいと思います。

実はそれぞれの種類に分けて習っているだけ

 文法の学習の大半は、実はこの「ことばの単位」の種類を順番に分けて習っているだけなのです。

 まず「文章」は、学校国語的には通常「文学的文章と説明的文章」に大別され、さらに多くの細目(論説文・小説・物語・紀行文など)に分類されます。

ただ、ここは文法での学習対象からは少し外れます。

 次に「段落」は「形式段落と意味段落」に分けられますが、ここはまあ用語を押さえておけばよく、重要度はさほど高くありません。

 また、「文」も「単文・複文・重文」に分けられますが、中学文法ではそんなに内容は深くはありません。

 何といっても文法の学習で大きな割合を占め、生徒たちが苦手意識を持つのは、「文節」と「単語」の二つの単位の学習になるでしょう。

文の成分って何?

 「文節」は、その文節の働きや役割に着目して分類した場合には、「文の成分」という名で種類分けがされます。

 この「文の成分」っていうもの、小学校からずっと生徒は学習してきているのですが、

このタイトル(文の成分)では頭の中に入れていないため、生徒の多くは、「文節」の学習と「文の成分」が有機的に結びついていません。

 では「文の成分」とは何だと思いますか?

 実は、おなじみの「主語・述語・修飾語・接続語・独立語」というやつなんです。

連文節の場合は「語」ではなく「部」になりますが。

 何かよくわからないまま、文節の切り方を練習して、今度は「独立語とは?」と言われ、「連文節を探しなさい」と言われて四苦八苦しているのは、

そもそも自分が今何を勉強しているか、その位置がわかっていないことによるところが大きいのかもしれません。

「ことばの単位」の学習の中で、「文節」の実質的な種類である「文の成分」で「文節」のつながり方のパターンを覚えているのだということが分かれば、いろいろ見方が変わって来て混乱が少なくなると思います。

 私の経験では、「文の成分」と質問して、上記の5つがスッと出てくる生徒はかなり少ないです。

 体系的理解が全くできていないということになるでしょうか。

単語の種類って何ですか?

 更にことばの最小単位である「単語」については、分け方の学習が先に来ることから、生徒はさらに混乱します。

 何せ「れる」「られる」が助動詞となる単語であるということさえ知らない時期に 

「『食べられている』を単語に分けなさい」という学習をするのです。無茶だと思いませんか。

 一応小学校で習う、ことばの分け方の学習の延長線上にある学習ではありますが、先に「助動詞や助詞はこれ」と教えた方がわかりやすいのは間違いありません。

 私は誰かが、すべての生徒が国文法を苦手になるように、こんな学習の順番にしているとしか思えません。

「単語」の種類が動詞や形容詞といった「品詞」ということになりますが、

この点もたぶん多くの生徒がつながりを持って学習することはできていないように思います。

パーツのところだけ詳細に学んでも面白くない

 文法が苦手になる理由は、このようにバラバラになったパーツの部分だけやけに詳しく勉強をしているので、

話がつながらず自分が何をやっているか一向につかめないということにあります。

 また上記のように、学習する順番にも問題があるように思います。

 ですので、一番いいのは、ある程度学習してから、もう一度文法の本を最初から読み直してみることです。

 今の国文法の指導の過程は、一回通り通ってから、もう一度繰り返して見て全体像をつかまないとよく理解できないようになってしまっているように思います。

 全体像をつかまないままの学習は、言ってみればどんどん深い森に一人で入っていくようなものです。

面白いわけがありません。

 また学習しているパーツを組み合わせることによって、思っていたよりもずっと簡単だったということもよくあります。

 だから、一度全体を見渡すことをやってみてください。そうすると意外に見えなかった部分がつながります。

体系的理解というのは、こういうことだと思います。

今後も皆さんのお役にたつ情報をアップしていきます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA