【敬語のスピリット】二重敬語は本当に慇懃無礼なのか?

二重敬語

 敬語の難しさを示すものとして「二重敬語」というものがあります。

これは本来1つの敬語表現(尊敬や謙譲)をすれば足りるのに

「より丁寧に」と思って二重に敬語を重ねてしまう表現です。

 中学校や小学校の敬語の学習では、そんなに詳しくはやりませんが

ビジネス敬語では、かなり重要なポイントになっています。

たとえば

「お見えになられる」は誤りです。

本来「お見えになる」が正しい表現です。

「お見えになられる」は、「お見えに」に加えて「なられる」という尊敬の表現を二重にしてしまっており正しい表現ではありません。

あるいは

「おっしゃられる」などと言うと、普通に正しい表現のような気がしますが、実は文法上は誤りです。

「言う」のこの形での尊敬語は「おっしゃる」です。

だから、それに尊敬の言葉である「られる」を重ねるのは二重敬語と言うことになります。

 どちらも本来の敬語としては誤りです。

敬語連結

 ではこういう表現はどうでしょうか。

「おっしゃっていらっしゃる」

いかにも二重敬語に聞こえ、とてもくどい言い回しで✕のような気がしますが

これは「敬語連結」というもので、文法としては誤りではありません

「言う」の敬語「おっしゃる」ではなく

「言っている」という複数の語句(補助の関係にある二文節)の敬語になり、「て」という接続助詞で連結される言葉なのでセーフだということです。

「いらっしゃる」は「いる」の部分の尊敬語ということになります。

何のための敬語か?

 これらを読んで皆さんどう感じますか。

「おっしゃっていらっしゃる」なんて表現を聞いて

「ああきれいな敬語だな。さすがにしっかりした方だ」なんて感じるでしょうか?

文法的に正しいとしても「ちょっと言い過ぎ」って感じではないですか。

 それに対して

「おっしゃられる」という二重敬語を聞いて

「こいつは失礼な奴だ。敬語も知らんのか」と感じたりするでしょうか?

あくまで私個人の感想ですが

そんな事あまり思わない気がします。

 二重敬語がなぜ間違いなのか、文法的なことはネット上で探せばたくさん説明が出て来ますが

「なぜ二重敬語はいけないのか」という実質的な理由については、あまり深く議論されてはおらず

「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」つまり丁寧すぎて相手を馬鹿にしているように聞こえる、というようなことが言われているようです。

 確かに相手が敬語を熟知している場合には、そういう状況もあるかと思いますが、

実際には相手自身がそもそも知らないことの方がほとんどです。

 おそらく「山下様がそうおっしゃっていらっしゃるので」と上司に報告したら

「何変な敬語つかっているんだ。丁寧すぎだよ。普通に『おっしゃられる』って言え」なんて叱られたりするかもしれませんね。

 実社会での私の経験から言うと

大きな企業の受付の方でも、そんなに厳密に敬語を十分にマスターされていないというようなことはよく見かけますし

時にはアナウンサーの方でも「おやっ」と思う言葉遣いの方はいます。

 まあ逆に言うと、それでは困るから敬語の間違い探しがこんなに世の中で流行っているということでしょう。

 でも一番重要なのは

「誰のための言葉遣いなのか」ということではないでしょうか。

そもそも日本語に敬語と言う文化が生じたのは、前にも書きましたが身分制度ということよりも「相手を不快にさせない心遣い」からだと思います。

だとすれば

「もっと丁寧に相手に言葉を伝えたい」「敬意をもっと示したい」

そういう気持ちこそ重要にしたいです。

二重敬語、私はそんなに気にすることはないと思います。

会話のTPOに合わせていれば、文法的に少しは誤りがあっても

相手はあなたの誠意を感じる事でしょう。

「二重敬語を使うような奴は社会人としてダメ」というような判断を

人物や誠意を見ずにすぐ下してしまうような人こそ

どうかと思います。

もちろん新人教育や後進に厳しくすることの一環として、敬語教育を厳格に行うというのは良い事でしょう。

それは我が国の美しい文化の継承にも大いに役立つことです。

しかし「言葉狩り」のように敬語の些細な誤りをあげつらうようなことになれば

若者たちも委縮して敬語を敬遠するようになるかもしれません。

「大事なのは誠意」

敬語の使用においては、まずそれを頭に入れておきたいですね。

今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。

 


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