弘法にも筆の誤り
歴史上の有名な人物で空海という人がいますが、この人を弘法大師とも呼びます。
真言宗の開祖として名高い人ですが、書道の達人としても名を残しています。そして平安時代に嵯峨天皇(さがてんのう)、橘逸勢(たちばなのはやなり)とともに「三筆(さんぴつ)」と称されていました。 そんな弘法大師もある時、書を書く際に漢字に点をつけ忘れてしまいます。
それで「どんなに名人でその道に優れていてもミスをすることはある」という意味で
「弘法にも筆の誤り」ということわざが生まれました。
ただこの時の弘法大師は間違いに気づくと、なんと筆を「エイッ」と投げつけて点を書いてしまったとされています。
「ミスをしてもしっかりとカバーをすればそれは失敗にはならない]ということをよく知っていたのでしょう。
むしろミスに気付いてからの行動こそ大切なのかもしれません。
だからこのことわざには、「ミスの修正も名人なら上手にできるのがすごい」という意味も、隠された意味としてあるともいわれています。
同じ意味の言葉が多いことわざ
この「弘法にも筆の誤り」ということわざですが、実は同じ意味のことわざが多くあります。
代表的なものとして「猿も木から落ちる」と「河童の川流れ」があります。
「猿も木から落ちる」については、
猿は木に登るのが得意というよりも日常行動ですが、そんな猿も木から落ちることだってあるということで、「得意であってもミスすることがある」という意味を表します。
同様に「河童の川流れ」も、
河童は川を泳ぐのが仕事のようなものですが、そんな河童も溺れることがあるいうことで、同じ意味を表します。
こんなに同じ意味の言葉が多いのは
「ミスをするというのは誰だって普通ある」ということを、示しているのではないかと思います。
そんなことから、たくさんのことわざが生まれたのでしょう。
でも弘法大師の話のように、肝心なのはそこからです。
ミスをしっかりカバーすれば、それは失敗ではなく経験であったり
場合によっては自分の評価を上げる機会にもなります。
ミスをしてうなだれたり、隠したりするのではなく
ミスを生かして次のステップに進みたいものですね。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。