【内申点の秘密】テストで点数が上がっても、成績が上がらない本当の理由とは?

成績は定期テストだけで決まらない

  保護者懇談のシーズンを迎えています。

 保護者の方も生徒本人も、先生とのやり取りで一喜一憂しているかも知れません。

通知表を見て、前と比べて落ちてしまって

「受験までにどうしたらいいのか?」

と悩む人もいるかも知れません。

逆に

「なぜかわからないけど急に良くなった」

という人もいるでしょう。

 多くの人が、内申点(評定)というのは

「定期テストを頑張れば自然に上がるもの」 

と漠然と信じています。

でもそれは半分正解で、

半分は間違っています。

 そこで中学校の生徒が内申点(評定)を上げるための方法についてお伝えします。

成績評価の仕組み

 多くの地域で公立高校の受験において、内申点は直接合否にかかわるものとして採用されています。

私立高校でも学校により割合は変わりますが、合否判定の大きな判断材料になる場合がほとんどです。

 そのため、内申点(調査書に書かれる評定の合計)は、常に保護者・生徒にとって非常に気になる存在となっています。

そして

 内申点の前提になる評定(5段階評価)について一番よくある誤解は、

「定期テストの点数を上げれば必ず評定が上がる」

 という上記のような考えです。

確かに上がる場合も多いのですが、変わらないこともあります。

点数が良いのに下がるということすら稀にあります。

まず、この仕組みを理解しないといけません。

評定を決める基準

 なぜ、そんなことがあるのでしょうか?

 これは言われてみれば当然のことで、

評定というのは生徒がその期間指導を受けてどれだけ評価に値する活動をしたかを見るものです。

 具体的には、評定は観点別評価を元にして決まります。

観点別評価をすべて総合したものを数値で判定したものが評定(5段階評価)になります。

 観点別評価とは、「関心・意欲・態度」や「知識・理解」などの項目別の評価です。

通知表にABC評価で書かれていることが多いですね。

 実際の学校生活では、定期テスト以外にも生徒の活動はたくさんあります。

だから定期テストの割合が大きくなるのは当然としても

平素の学習状況が当然加味されます。

大別すると、

①定期テストの得点 に加えて

②普段行われる小テストなどの評価(実技科目の場合には実技テスト)

③課題の提出状況(提出しているか+内容もしっかりやっているかどうか)

④授業時の発言などの活動状況

が判定基準となると思われます。

 ある学校の先生は、これらをすべて自分が普段記録する最初の段階から数値化して判定するということを言っていました。

どうしても主観が入ってしまう危険があるので客観化したいとのことでした。

実際、このやり方は多くの学校の先生が用いていると思います。

 学校の先生も、「単なる主観でつけているのではない」ということを客観的な根拠を以て示せるようにしておきたいのだと思います。

  そして最終的には、観点別評価から評定が単純に計算判定されるようですが

その前の段階で実際にはレポートや対話、スピーチなどまで含め多種の要素による判定があり、

特に④の部分でかなり幅広い裁量による判断がされるようです。

 このように、②~④の中身次第では定期テストが良くても成績が一向に上がらないということもあるのです。

すぐにできることからやる

 まず、評定を上げたいという場合には

定期テストの得点(順位)を「上げる」または「下げない」ということは、やはり重要だと思います。

これが下がってしまえば、評定を下げられる可能性は高くなってきます。

「半分は正しい」とお伝えしたのはこのためです。

 定期テストの順位を上げれば

成績が上がる可能性を高められるのは事実です。

 しかし、定期テストだけ頑張るという姿勢はよくありません。当たり前のことではありますが、学校の先生は普段の学習をよく見ています。

 たとえば、普段の小テストも全力で準備対策するようにすれば

これまで何となく流して受けていたのに比べて、見違えるような結果も可能です。

 でも割と多くの生徒が、小テストは最初の一歩ぐらいに思っていて、

「できなくても定期テストで頑張ればいいや」

という気持ちでいます。

けれども

 評定の良い生徒を見ていると、多くは小テストの準備や対策もかなり本気でやっています。

 ここが意外に差が生じるポイントになっているような気がします。

 まず、普段できるところから始めることです。 

課題の提出

課題の提出については、言うまでもないと思います。

 学校の先生の課題の出し方については

これまでも何回となく記事にしてきましたが、

私は、学校の先生の課題の出し方が良くない場合も多いと思っています。

 しかし、出されたものを提出しないというようなことをして良いかというと、それはまた別の問題です。

提出しないことには必ずペナルティがつきます。

公平上これは仕方がないことです。

 「課題をやらない、課題を出せない」という場合には、評定はかなり下げられるのを覚悟しなくてはいけません。

 塾の生徒でも、課題をやってこない生徒がいますので、学校の先生の気持ちは良くわかります。

 一生懸命アンダーラインや自分なりの注意点まで書き込んで、しっかりやってきた課題を提出してきた生徒と、

「忘れました」「やっていません」という生徒では、

どちらを高く評価するかは分かり切ったことですね。

 課題が出せないという生徒については、本人の学習習慣を改善するということのためにも、

何らかの方法で課題を必ず出すというやり方も考えていくべきです。

授業態度などについて

 普段の授業態度も評価の対象にもちろん入ってきます。

発言をする回数が多く、積極的に授業に参加すれば評価は高くなります。

むしろ高くなりすぎていることさえあります。

 以前書きましたが、

定期テストの得点は良くないのに内申点がとても高い生徒が時にいますが、

おおむねそういう生徒は授業の中で活躍していることが多いです。

 テスト以外では比較的評定を上げ易い方法だと言えます。

 以上見てきたように

定期テストの順位が良くても、小テストや課題、授業態度などによって成績が変わらない、あるいは落ちるということもあるわけです。

また逆に、定期テストの順位が悪くても、それ以外の要素で成績が上がるということもあるのです。

「半分は間違っている」

というのはこういう事情があるからです。

内申制度の問題点

 内申制度についてはいろいろなところで議論がありますが、問題があることは間違いないと思います。

 私は2つの点で問題があるのだと思います。

 1つは判定する教師の評価能力に個人差がありすぎるということです。

厳密に評価の質の均一化は図られているというのが建前のようですが、実感は異なります。

 保護者の方の中には感じられる方がお見えかと思いますが、

とても信頼できる良い先生もいれば

自分のことで手いっぱいの先生もいたり、

先入観で考え方に柔軟性がない先生もいます。

 人間ですからいろいろなタイプの方がいるのは当然ですが、

そういう先生たちが一律に評定というものを決めていくと、裁量の許される部分が大きい場合には、やはり評価の質にばらつきが出てしまいます。

 例を挙げると、実力は高いのに自分を表に出して表現をすることを控えるタイプの生徒は

今の学校制度の中ではなかなか高い評価をもらいにくくなっています。

 高い能力を持っている先生の場合は、そういう生徒の個性まで加味してきちんと評価がされているように感じることがありますが

反対に、

「頑張らなくても3、頑張って結果が出ても3」

というような評価がされているように感じてしまったりする場合もあります。

 何にしても、「先生によって違う」という、いわば運になっていることが問題だと思います。

 もちろん数値化しているという反論は予想されますが

数値化で生徒の個別のデータを比較した後に

(これも最終的には数値化するとしても)実質的な裁量判断ができる部分が少なからずあるはずです。

 仮にそういう部分を一切設定していないとすると、それは「人が行う教育的な評価」とも言えなくなってくると思いますので、それはそれで問題です。

そして、そういう裁量部分があるとして

そこで生徒の努力の姿勢などを、全般的に見てしっかり最終チェックできているかどうかということを

もう一度実質的に振りかえってもらう必要があるのではないかと思います。

 そうでないと結局、「頑張らなくても3、頑張って結果が出ても3」と思われてしまう成績判断になってしまうことも起こるからです。

 2つ目は内申点(評定の合計)が受験の合否にかかわるという点です。

 教師と生徒ですから

極端な話、隣のクラスのA先生と自分の先生の評価が180度違っても、それは見解の相違だし、

生徒も

「人の評価はそれぞれ異なる」

ということを学ぶ良い機会かも知れません。

 しかし、その数値が高校受験の合否を左右してしまうことになるのが

制度としてはどうかなと思ってしまいます。

 これまで多くの生徒を見てきましたが、実力は十分にあるのに、

先生の極端な評価で、当然合格するだけの能力がありながら、別の学校へ進学せざるを得なかった生徒は結構います。

 同じような学習態度や成績を取っているのに、先生が変わったとたんに評価が大きく変わってしまうということもよく見かけます。

 隣の学校では同じくらいの実力で、同じくらいの学校での過ごし方をしているように見える生徒が5をもらっているのに、

こちらの学校では3などということもあります。

もちろん様々な要素によってそうなったと言われるとは思いますが…。

 第三者機関が、そういう学校間の評価格差を調査したり調整するというような話も、最近は寡聞にして聞いたことがありません。

 制度自体についてどうすればいいのかは実際は難しいことなのだと思いますが、

私の考えとしては、このままでいいのかなと疑問に思うところです。

内申点を上げるために必要な意識

 内申点(評定)を上げていくにはいろいろな対策があります。

 まず、冒頭で書いたように定期テストで良い点を取るということがすべてではないということをよく知っておく必要があります。

そして、ここが一番のポイントになると思いますが、

「内申点を上げるために必要な意識」というものがあると思います。

それは、「普段の学習に重きを置く」という意識です。

 評価ということでは、定期テストを過大にとらえ過ぎている生徒が多いのかもしれません。

そのために普段の小テストや通常の授業、課題の提出を甘く考えています。

ここに評定がなかなか上がらない一番の要因があるような気がします。

 普段からこれらの点について常に注意をして力を入れていけば、

何より学校の先生が、本人の様子が変わってきたことに気づきます。

 気づいてもらえば、励ましもあるでしょうし、

自分自身のやる気も違ってきます。

結果として評価も上がり易くなってくると思います。

 定期テストの前から慌て出して

テストの結果に一喜一憂して

テストが終わったら、何事もなかったように過ごすというやり方は

無意識だとは思いますが、言ってみれば「成績をこの期間だけでつけてもらおうとする」ようなものです。

 もしそうだとすると

常にあらゆる要素から

生徒の能力と頑張りを適正に判断しようと考えている学校の先生の目には

実はそれ以外の期間の

気の抜けた姿勢が映ってしまっているのかもしれません。

一度立ち止まって

「内申点を上げるために必要な意識」というものを

考えて見るとよいと思います。

 今後も皆さんのお役にたつ情報をアップしていきます。

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