知っているようで知らない事
わたしたちが日常生活で何気なく使っている言葉でも
「当然こんな意味だろう」と思って使っているのに、意外に真の意味とは違っているということがあります。
たとえば「台風一過」
台風が過ぎ去った後のすっきりと晴れた状況を指す言葉ですが
音だけ聞いてこれを「台風一家」って思ったりするようなことです。
思わずクスっと笑ってしまうような話ですが
言葉によっては、知っておかないと失礼になってしまうような場合もありますから油断はできません。
1月1日の呼び名
皆さんは「1月1日の別名は何?」と聞かれたら何と答えますか。
毎年お正月になると、
「今年の元旦は・・・」とか
「元日の人出は・・・」とか
「正月のこの時期に」といった感じのニュースが流れます。
何気なく使っていますが
「元旦」「元日」「正月」の言葉の意味はそれぞれ違います。
答えを先に言うと
1月1日の別名は「元日」です。
「元日」は1年の最初の日を指す言葉なので、1月1日がその日にあたります。
元旦は元日の朝
「元旦」という言葉もよく聞きます。
今ではかなりの人が、SNSで新年のあいさつを交わすようになったため
年賀状を出す人の割合が少なくなってきていますが
年賀状では
「元旦」という表現を使う場合があります。
そもそも「旦」と言う字には
水平線「-」の上にお日さま「日」が昇る意味があります。
お日さまが昇るわけですから
夜明けや朝を指す言葉ということになります。
したがって「元旦」は1月1日の朝という意味の言葉です。
しかし多くの人が
「元旦」を「元日」と同じ意味で使っているのを見かけます。
また実際にも通用していたりしますから、それはそれでいいかも知れません。
ただ上記のように、年賀状の場合は文面で残る物でもあり、注意した方が良いかも知れません。
「書いたのが元旦」という考え方だってあり得るわけですので
1月1日の朝に届かなければ、絶対に「元旦」と書いてはいけないという事もないでしょうが
一般的には元日に届かない場合は「元旦」と書くのを避けた方がベターでしょう。
「君、元旦には届かなかったよ。失礼だろう」
なんてことを言う野暮な人もいないと思いますが、気持ち的にも書き分けた方がすっきりしますね。
まあ、そんなことを言う人とは距離を取りたいと思う人も多いかもしれませんが・・・。
漢字的には奥が深い「旦」の字
元旦の「旦」の字は、このように1月1日の朝を指す文字ですが
漢字の成り立ちを表す「六書」の中では、どのジャンルにあたるか
意見が少し分かれているようです。
*「六書」については以前記事にしていますので、こちらを参考にしてください。
「旦」の文字について、「-」を記号のようにとらえると、「旦」は点や線など記号的なイメージで文字が成り立ったとされる「指事文字」であると言えます。
実際には、この考え方を取る方が多いようです。
ところが、「日」と「水平線を表すー」という意味の漢字を組み合わせていると考えると、象形文字や指事文字の組合せで出来る「会意文字」とも考えられ、そう主張する人もいます。
あるいは、端的に物の形をかたどった文字である「象形文字」であると考える人もいます。正に日が昇る絵そのままだととらえれば、そういう見方もできるでしょう。
さらに調べてみると
この「旦」と言う文字には、実は旧字があります。
「詹(タン)」という文字で重さを表していたようですが、その後音が同じという事から「旦」の字に取って変わられたようです
このように「旦」の漢字一つにも色々な話があり、漢字豆知識的には興味深い題材ではあります。
漢字や日本語の面白さ
話が少しそれましたが
最後の「正月」は
正式には「暦の最初の月」を指します。
結果として、現在の暦では1月が「正月」ということになります。
イメージとしては
多くの人が、門松などの松かざりを立てておく「松の内」の期間(地域により違うようです。一般的には7日間)が「正月」という感覚を持っているようにも思います。
私は、忙しい年には、1月の終わりごろ「初詣」に行ったりしますが
そんな時、世間はもう「正月」という雰囲気はなくなってしまっている感じがして、少し盛り上がりに欠けます。
やはり1月前半には行くのがいいのかも知れません。
そんな事を考えて見ると
「正月」の実際のイメージは、言葉の正しい意味よりも少し期間が短い気がします。
漢字や古くからのこうした日本語は、昔からの習慣に基づいたものでもあり
意味や由来を調べると、実際のイメージとのズレもあったりして意外なことが分かり面白いです。
皆さんも、身近に知っている言葉について、一度調べてみるのもいいかもしれませんね。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。