単純な思考
生徒が演習として問題を解いている際には、多くの場合1つのテーマについてのみ意識が向けられます。
たとえば分解の化学反応を勉強している時には、分解のことばかりが頭にあります。
「水を電気分解してできるものは何か」と言われれば
「あっ、酸素と水素だ」と思って「酸素と水素」と急いで解答します。
たとえその後に「化学式で答えなさい」と書いてあってもです。
本当は「O2とH2」と書かなくてはなりません。
そしてもし「元素記号で書きなさい」であれば「OとH」と書きます。
問題は決して単純ではありません。
しかし解答者は驚くほど単純な思考をします。
そしてこの単純な思考こそが実は、テスト会場でのアウトプットの際にも大きなデメリットを生んでいるのです。
問題文が聞いていることは、基礎練習を除いて普通1つだけではありません。
「なぜそのことに気づかないのか」と不思議に思うくらい、生徒は簡単に問題文にひっかかります。
「分解」と「化学式」という2つの仕掛けがあれば、その段階で少なくとも3割くらいの生徒が誤答に導かれてしまいます。
逆に言えばそこを用心すればそれだけで、もうかなり相対的にできる生徒になることができます。
三単現のsに繰り返し引っかかってしまう
この点でとても興味深いのは
いわゆる「三単現のsのひっかけ」です。
塾のワークの基本トレーニングには、どの本でもほぼかならず
この三単現のsの罠が仕掛けられています。
たとえば
動名詞を学ぶ際に、enjoy 、stop 、finish の後には ingが来ることを学んだ後の演習問題で
1 You ( )( ) guitar. あなたはギターを弾いて楽しみます。
2He ( )( ). 彼は泳ぐことを楽しみます。
というような形の出題がされます。
1の正解はenjoy playing です。
enjoyが目的語とするのは動名詞としてのplyingになるからで、まさに動名詞の学習の内容通りの問題です。
しかし、2の正解は単純にenjoy swimming ではありません。
実感では、ほぼ半数の生徒が間違えます。
Youではなく主語がHeに代わっているので、三単現のsが必要になります。
したがって enjoys swimming が正解になります。
そして、面白いことにと言っては不謹慎かもしれませんが
このようなひっかけには、受験生であろうが高校生であろうが
「頭をフルに使って問題を解いていない生徒」は見事にひっかかります。
毎回、びっくりするくらい繰り返してひっかかります。
そしてわかるのが、その生徒がテストで得点を上げられない本当の理由です。
それは「問題を解く際の注意力の欠如」ということです。
様々な問題演習や学習はもちろん大事ですが
「問題文を用心ぶかく読み取る」というアウトプットの基本中の基本について
彼は甘く考えている可能性が非常に高いのです。
実際この種の間違いを繰り返す場合には、テストの得点は安定しません。
そして、必ず言うセリフが
「一生懸命たくさん問題を解いているのに点数が伸びない」という言葉です。
でも、こういうタイプの生徒こそ
「問題をたくさん解くことや一生懸命学習時間を増やすことが、決してこの問題の解決策ではないこと」に一刻も早く気付く必要があるのです。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。