場合の数を出す手間
小中高とずっと数学で学習が続いていく単元の1つとして場合の数があります。
場合の数は、あることがらの起こる場合の数の総和です。
たとえば、サイコロがインチキサイコロでない場合には1の目、2の目、3の目、4の目、5の目、6の目が出る可能性があるので、場合の数は6通りになります。
確率の学習の前提となる数を出す計算をしていく内容になるため、学習としては本来面白い単元なのですが
高校生で学習するあたりの内容になると、論理性というよりもやり方の切り口の独自性が多くなりすぎて、結構嫌いになってしまう人もいます。
簡単に言えば、あれこれ数えていくのが微に入り細を穿つものもあって、結構面倒くさいのです。
しかし場合の数には、余事象を利用した計算というのがあって、これはピタっと決まるとかなりスカッとするものですので、今回はそれをご紹介します。
余事象とは
余事象というのは、ある事象の正反対の事柄(事象)です。
たとえば、くじが当たりという事象があるとすると、はずれが出るというのが余事象です。
余事象は単に頭の整理のためくらいにとらえていればいいのですが
ある場合に限っては、これが大変意味を持つことになります。
それはいわゆる「少なくとも」の表現を使う問題においてです。
これについては、場合の数の出題の中でも最も重要度が高くよく出るタイプの問題ですので
意味をしっかりマスターしておくことは、いろんな意味で大変役に立つことになるでしょう。
少なくとも~
それはたとえばこんな問題です。
コインの表が出れば「当たり」裏なら「はずれ」としてコインを投げて確認をしていく。これを2回繰り返した場合に、少なくとも1回当たりが出る場合の数は何通りか?
コインの出方としては1回投げると
「当たり(表)」と「はずれ(裏)」の2通りしかありませんから
2回繰り返した場合には
①1回目 当たり 2回目 当たり
②1回目 当たり 2回目 はずれ
③1回目 はずれ 2回目 当たり
④1回目 はずれ 2回目 はずれ の4通りがあります。
この中で「少なくとも1回」当たりが出るのは
1回 当たり か 2回 当たり の場合ということですから
①②③の3通りということになります。
まあ、これくらいなら丁寧に書いていけば楽勝かもしれません。
この問題のように、当たりはずれのように2通りの結果が出る物事を反復していくときには
その出方はやる回数(試行回数)をnとすると
2n通りの場合の数になるとされています。
上記の場合は2回繰り返したので 22=4で4通りですね。
回数が多かったらどうする?
でもたとえばこれが6回繰り返しとなったらどうでしょうか?
このように書いていって数えていたら、到底きりがなくて間違えてしまうこともありますね。
なぜかと言えば、26は2×2×2×2×2×2=64で、これだけですでにもう64回も考える必要があることになるからです。
でもそんなときに、一瞬で正解を出せる方法があるのです。
それが余事象を使った便利な方法です。
考え方はこうです。
「少なくとも1回は当たり」というのはどういうことなのかをよく考えてみるのです。
そうすると、それはとにかく最低でも1回当たりがあればいいということに気づきます。
1回当たりでも2回当たりでも、64回当たりでもいいのです。
じゃあこれを逆から考えたらどうでしょうか。
64回当たりはいいとして、その反対に64回はずれなら、それは1回も当たっていないことになります。
そうです。「少なくとも1回当たり」は、当たりの反対であるはずれという余事象が全回起こったとき、つまり「全部はずれ」のあべこべの意味なのです。
だとすれば、この問題で言えば、
全部で64回やるとして、「全部はずれ」なのは
はずれ はずれ はずれ はずれ はずれ はずれ というたったの1通りだけですから
「少なくとも1回当たり」になる場合の数は
64-1=63で 63通りということになります。
どうですか、とっても簡単でスカッとするやり方ですよね。
いろんな形でこの余事象の絡んだ問題は出るので、考え方を知っておくととても役に立ちますよ。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。