重言・二重表現
同じ意味の言葉を繰り返し使ってしまう表現を「重言(じゅうげん)」あるいは「二重表現」と言います。
もちろん日本語の正確な用法としては、誤りという事になるかと思いますが、私たちは普通にこういう言葉をつかっています。
たとえば「一番ベスト」
これはベストと言う言葉の意味が「一番良い」なので、「一番一番良い」という事になり巷では誤用だとされるようですが、普通に使いますね。
何かを強調したいときには、言葉を重ねるということは当然あります。
「とても大変すばらしいです」なんて感じに、訥々と感動を伝えることは、不器用ですが気持ちは伝わってくるものです。
そんなときに「あなた、言葉が変ですよ」なんて言う人がいれば、
それは言う人の方が変です。
使っても問題ないのか?
冒頭に書いた「学校へ登校」「まだ未定」「あらかじめ予告」は重言ですが、私たちがつい日常で使っているものです。
どれも日常生活で使ってていて違和感もないので、正確な語法としては問題があるのかもしれませんが、使ったところで「一体誰が問題にするのか」という感じです。
重言は言葉ごと違和感の程度に大きな幅があるので、修辞用法として許容されているものも多いのです。「頭痛が痛い」はちょっとダメですが…。
もしも入学試験でこのような表現(頭痛が痛いは除く)を使ったとします。
その試験がたとえば国文科の入試なら、採点者によっては減点するのかもしれません。
しかし、高校入試の作文とかでこの表現があっても、
「学校へ登校」については「おやっ」と思われる場合があるかもしれませんが、
「まだ未定」「あらかじめ予告」なんて採点者自体が重言であることに気づかない可能性さえあります。
逆に、中学入試の国語の作文は語彙についてかなり厳しいチェックをするので、減点される場合はあるかもしれません。
けれども、いずれにしてもごく一部の人しか重言であることさえ気づかないものです。
それくらい重言というものは、実際は普通に許容されて使われているものだと言えます。
あくまで私見ですが、日常生活で重言を使っても全く問題はなく
むしろ何かを強調する際には、頻繁に使っても構わないんじゃないか、その方が表現としてよりホットな感じになるのではないかと思ったりします。
英語の重言
気づかれる方も多いのですが、英語などでは重言にあたる表現を結構見かけます。
「夢を見る」dream one's dream なんていうのは、夢を見るという動詞のdream と夢という意味の名詞のdream を重ねて使っていて
日本語ならば「腹痛が痛い」と言っているようなものですが、表現としてそもそも誤りではないとされています。
でもどうでしょうか?
He dreams his dream.「彼は夢を見る」なんて「夢」だらけな感じがしてちょっと素敵ではないですか。
結局言葉というものは、それを通して人に何かを伝えるための道具に過ぎませんから
些細な修辞にこだわりすぎるということが、マイナスになることもあるということは意識しておくべきです。
ただ、知識として知っておくのとそうではないのでは大違いなので
悪人に理由もなく「後で後悔するなよ」と捨て台詞を相手に言われたときに
「後悔は普通後でするけどね」くらいの皮肉が言えるようにしておくのはいいかもしれませんね。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。