そつなくこなす
「そつなくこなす」は一般にもよく使われる言葉です。油断や失敗がなくやり遂げることを言います。
普段よく聞く言葉ですが「そつ」って何でしょうか?
普通に考えると「油断や失敗」という事になりますが、「そつ」という言い回しは意外に使われていませんよね。
明確ではないようですが、現在は「卒」がこれにあたるという説が主流のようです。
ただ「卒」は当て字で語源ではないという人もいます。
昔は「卒」を無駄や手抜かりと言う意味で使っていたことがあるそうなので、そこから来たのではないかと思われます。
ご存じのように「卒」は「卒業」などで用いられている感じなので「終わる」と言う意味がある言葉ですが、それとは別にこういう意味もあったのかも知れません。
良い意味だけなのか?
「そつなくこなす」は、たとえば
「山田君はいつも納期に間に合うようにやるべき仕事をそつなくこなしている」
というように誉め言葉で使われることが多いです。
合理的で無駄がなくてきぱきと仕事を片付けるイメージですね。
だから良い言葉だからと思って、こんな風に使ったらどうでしょうか?
「山田君はいつもそつがないね。ほかの人がまだ終らないのに自分の仕事を終えて涼しい顔をしているね」
無駄がなく仕事を片付けるという意味には変わりはないですが
他人などどうでもよくて抜け目ない人という意味にもとらえられてしまいます。
言った上司が誉め言葉としてこれを言っても
山田君はショックを受けるかもしれません。
「自分の仕事が終わっても他の遅い奴をオレが手伝えってことか?」
そんな反発を持つかもしれません。
一つの言い回しが、誉め言葉になると同時に前後の文脈との関連で嫌味になってしまうことはよくありますが
「そつがない」は割とそういう振れ幅が大きい言葉なので注意が必要かもしれません。
ただ、そういうニュアンスの広がりや微妙さが日本語の面白さでもあります。
円滑に社会生活を送るためには、知っておくべきですね。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。