【式による説明】偶数が2mで奇数が2n+1。その意味とは?

2nって何?

 中2の数学の文字式の計算で文字式を使って説明をする学習があります。

たとえば

偶数と奇数の和は奇数になることを文字を使って説明せよ。

というような問題が出されます。

模範解答は

m、nを自然数とすると、偶数は2m、奇数は2n+1と表すことができる。

偶数と奇数の和は、2m+2n+1であるから2(m+n)+1と変形できる。

ここでm+nもまた自然数であるから、2(m+n)+1は奇数という事ができる。

というようなものになります。

 さてどうでしょうか?これを見てスッと意味がわかりますか?

なかなか難しいのではないかと思います。

事実中2の数学で苦手な生徒が最も出やすいのはこの単元ではないかと思われます。

 まず最初に「一体何を言っているのか」がわからない生徒がたくさん生じてしまうのです。

湧き出す疑問の数々

 初めてこの問題を見る者は実に様々な事がわかりません。

「なぜm、nが突然答えに出てくるのか」

「なぜ2mが偶数で、2n+1は奇数なのか」

「なぜ2m+2n+1が2(m+n)+1になるのか」

「なぜ2(m+n)+1は奇数なのか」

おそらくすべて謎だらけではないでしょうか?

なせmとn?

 まずmとnが突然出てくる理由ですが

これはm、nは自然数を表すための文字であるに過ぎません。

だから説明の際に自分で勝手に決めてしまって良く

a、bでも、y、zでも任意の文字で構いません。

しかし初学者は実はこんなことでも大いに悩むのです。

実際一生懸命勉強している生徒の多くがテスト前に

「先生この解答にはm、nですが僕のはx、yになっています。これって間違いですか?」と質問してきます。

もちろん間違いではありませんね。

なぜ2mが偶数で、なぜ2n+1が奇数?

 次に、なぜ2mが偶数かということですが

これは偶数というものの意味を理解しないと、なかなかの謎になってしまいます。

偶数と言うと2,4,6,8,10…ですが

これは言うまでもなく2の倍数です。

そこでこれを「自然数mというものと絡めて説明するにはどうしたらいいか」を考えます。

2の倍数ということはその数は必ず2×(自然数)という形で表すことができるはずです。

上記の偶数も

2×1、2×2、2×3、2×4、2×5・・・

こういう形で表現できるのです。

だけど2×(自然数)の(自然数)の部分はその偶数によって常に異なります。

でもこの部分を文字にしてしまっておけば、その文字の部分に任意の数字を入れれば

いつでもどこでも偶数を作ることができます。

それで(自然数)の部分を、自分がこの問題で決めた文字自然数mに置き換えたものが

2×m、つまり2mと言うわけです。

もしmが12であれば、2mは24で偶数になります。

もしmが100であれば、2mは200で偶数です。

このようにどんな自然数が入っても、2mはいつでも偶数になるというわけです。

そこで偶数は2mで表すという事が言えるわけです。

 同様に2n+1についても

2nが偶数でそれに1を足したものですから、それは必ず奇数になります。

 文字が違っているのは、異なる数字の和を計算する問題のために

mとnにした方が説明がやりやすいためです。

なぜ2m+2n+1が2(m+n)+1になるの?

 ここでほとんどの生徒が壁に直面します。

しかしこれには理由があるのです。

この計算なぜ2m+2n+1=2(m+n)+1は因数分解を含む計算なのですが

実は2年の段階で因数分解は学習しておらず

このタイプの問題だけで登場するのです。

 このことから生徒の理解度が大変低くなっているので、私は長年このカリキュラムを見直してこの単元の学習を因数分解を習ってから設定した方がいいと思ってきました。

2(m+n)=2m+2nは結合法則を使って計算で、これはそれこそ小学校以来学習しているので皆理解しやすいのですが

その逆の2m+2n=2(m+n)はやっていないので発想すること自体が難しいのです。

 実際の指導では似たような類題をたくさん作って計算練習をまずやるようにしています。

それでなんとかこの山を乗り越えることができます。

なぜ2(m+n)+1が奇数なのか?

これが最後の疑問です。

このタイプの問題でm+nというのは、実はその文字の個性には意味がありません。

mが自然数、nも自然数なのでm+nも自然数ということで

単に(m+n)は自然数ということを示すためのアイテムになるという事です。

 だから2(m+n)+1になった時点で

それは2(自然数)+1になったと言えるわけです。

 そしてそうなると、元々の2n+1も2(自然数)+1を文字を使って表しただけであり

これと同じということですから

2(m+n)+1も奇数だという事が言えるわけです。

 いかがでしょうか。この問題の中には少なくとも以上の4つの難関が存在しています。

ところがこれを学校の授業では驚くほど短期間で終了してテストになってしまうのですが、

このカリキュラム自体が、生徒を数学嫌いにさせている大きな要因のように思います。

 でもだからと言って、そのままでもいけませんので

今回の記事をよく読み直していただいて、お子さんが困っていればかみ砕いてアドバイスをしてあげてください。

 また現在学習中の方は、自分が「ここが分からない」というポイントがあると思いますが、そのポイントについて何回か丁寧に読むことをお勧めします。

意味がわかれば何も心配するようなものではないので、まずはよく意味をつかむことですね。

 今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。

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