入試で聞かれることが多い連体詞と副詞
生徒が文法を勉強していて、実は簡単なのになかなか理解が進まない品詞があります。
それが連体詞と副詞です。
今回はそのうち連体詞について書きたいと思います。
連 体詞は、動詞や形容詞など、品詞の花形(?)的なものに比べると、なんだかおまけみたいで「地味な感じ」に思ってしまっている人も多いのではないかと思います。
副詞が多くは用言を修飾するのに対して、連体詞は言葉の通り体言を修飾します。
副詞が純粋に用言の修飾だけをするのではないので連用詞と呼ばれないため、わかりにくくなっていますが、連体詞は割と単純です。
この二つの品詞は意外に入試問題で出題されることがかなり多いです。
だから「地味だけどよく見かけるやつ」なのです。
おそらく皆何となくは理解しているけれども、実はよくわかっていないのが連体詞と副詞なのでしょう。
文法と言うと活用形や活用の種類などが花形ですので、そちらに気を取られがちですが、この二つの品詞はしっかり押さえておきたいです。
簡単なのにマスターできない理由
連体詞は体言(代名詞を含む名詞)を修飾します。
たとえば名詞「ネコ」を例に取って言うと
「この」ネコ、「あの」ネコ、「その」ネコ、「どの」ネコと言った具合です。
小学校で学習する「こそあど言葉」ですね。
さらに試験に出やすいところでは
「大きな」「小さな」というのがあります。
活用がある形容詞の「大きい」「小さい」との見分けでひっかかるため試験にはよく出ています。
「大きな」ネコ、「小さな」ネコは、「大きい」ネコ、「小さい」ネコとは品詞分類では異なっているのです。
このように書いたのは、何か名詞を自分で1つ決めて、「あの」ネコというようにそれを修飾しているかどうか確認すれば、連体詞は見分けがつくからです。
この意味で連体詞は割と単純なんです。
しかし…
実は、落とし穴があります。
連体詞を確認する手順が重要なのです。それをきちんと経てないと間違えてしまうことになります。
連体詞型のタイプの品詞判別法
連体詞型の活用しない修飾語(副詞もそうです)の品詞判別においては、最初から修飾する相手(名詞)が何かで判別してはいけません。
まず修飾語が活用できる(変形する)言葉かどうかを確認をする必要があるのです。
上記の例で言うと、
「大きい」ネコと聞かれたら、
「大きい」は活用(変形)する言葉かどうか考えます。
すると「大きくなる」「大きいとき」といった活用が浮かびます。
そこで「大きい」が形容詞であるとわかります。
連体詞かどうかを問うまでもなく、この品詞は形容詞だということになります。
これに対して、
「大きな」ネコの場合には、
「大きな」の活用は頭に浮かびません。「大きな」に活用の続き方である「なる」をつけて「大きになる」とか「大きねなる」とは言いませんね。
だからこれは活用(変形)がない言葉だとわかります。
そしてその次のステップで連体詞ではないかと考えるのです。
もしも最初に修飾する相手の言葉で判断すると、どちらも名詞(体言)を飾っているためどちらも連体詞になってしまいますから注意が必要です。
考える手順や修飾をしているかどうかの判断が苦手な生徒が多い
このようなステップを踏み、また実際に修飾をしているかどうかの判断も苦手な生徒が多いため、連体詞はできる生徒とできない生徒の差が大きい気がします。
たとえば「あらゆるネコの集まりがそこで繰り広げられていた」と言ったときに「あらゆる」がどの単語を修飾しているかが、中学生や高校生でもわからない生徒が多いのです。(答えはネコ)
①活用があるかどうかを判断する
②修飾する相手が何かを判断する
この2つのステップそれぞれで実は「考える」という過程があるのですが、文法は暗記だと思い込んでいると、よく考えずにステップも飛ばして答えるので、いつも間違ってしまうのだと思います。
けれども一度手順をマスターすればさほど難しいことではありません。
ですので、これをぜひ得意にして他人と差をつけてもらえるといいなと思います。
文法は暗記的な学習のように見えますが、実は違います。
覚えるのは本当に基本用語だけで、考え方をマスターすれば一気にわかりやすくなる段階へ進むことができる学習です。
そのあたりも含めて、ぜひ文法の苦手なお子さんにアドバイスしてあげてください。
今後も皆さんのお役にたつ情報をアップしていきます。