【暗算のデメリット】ミスの温床は実は「暗算」にあり。

時間短縮に役立つ暗算

 理数系科目ではテストのときに時間が足りなくなることが多く、問題を解く時間の短縮は1つのテーマです。

 暗算でこの問題解決しようとする生徒がいます。

確かに、暗算は時間を短縮することに役立つことがあります。

 前に「計算のコツ」について何回か記事にしたことがありますが、

24×1000や400×0.5を筆算でやっているのを見ると「ああ、時間を無駄にしているな」と感じます。

 でもむしろこれは、暗算というより計算のコツを知らないという問題です。

 では計算のコツを使えない普通の計算で暗算をすることはどうでしょうか?

筆算をして解く問題を、暗算で解いてしまうやり方です。

 実は非常によく見かけるのが、こういう暗算をする生徒です。

その暗算法は完璧なの?

 暗算法には、有名なインド式の2ケタのかけ算のやり方などを始めしっかりとした方法が色々あります。

 これについては、大変興味深いものがありますが、生徒がやっているのはそういう暗算ではありません。

 計算問題をずっと眺めていていつまでも解かないので、不思議に思って声をかけると、いきなり解答の数字だけを書きます。

単純な数の計算だけでなく、方程式や連立方程式でもそれをやっています。

 方程式の場合は、暗算というよりXやYにあてはまる数を頭の中で順に考える「数当て」をやっているようです。

到底正解になるとは思えませんが、なかなか注意しても改善されないことがあります。

 この話を聞くと多くの人が驚くと思いますが、事実こういう暗算を普通にやっている生徒は結構いるのです。

なぜだと思いますか?

暗算に自信があるからです。

 いつなのかは不明ですが、おそらく暗算で答えを出してすべて正解をしたとか、

誰かに「計算が速いね」と褒められたとか、そんな経験だと思いますが計算について褒められたことがあるのでしょう。

それで自信を持ってしまって、暗算をするやり方に走ってしまっているのだと思います。

 式を書くことのメリットを繰り返し教えて改善をしてしきますが、

そういう生徒は逆にさまざまな計算のコツも使おうとしないので、実際にはむしろ計算に時間がかかってしまいます。

 以前方程式を「数当て」の暗算でやっていた生徒が問題を解く時間を観察していたら、

普通に書いて解く生徒の5倍くらいの時間がかかっていました。

これでは暗算の意味が全くありませんね。

得意な技が正確にできるとは限らない

 最近はめっきり減りましたが、以前はそろばんを習っている生徒が結構いて、

 そろばんで暗算をやるため、中学の数学でそろばんで習った暗算を使って計算をしている生徒が割といました。

 その時の私の経験からのあくまで主観的な感想ですが、

「そろばんで暗算ができることに自信がある生徒は、計算のミスが多い傾向がある」

という皮肉な結果になっていたように思います。

 「自分は暗算ができる」という意識が油断を生んでしまっていたのだと思います。

 そのため、そろばんで暗算を習っているという生徒には、逆に特に計算ミスに注意するようにアドバイスを行っていました。

 これに対して、そろばんが非常にできて暗算もスイスイの生徒は、

意外にも中学の数学で、暗算は最小限にとどめて式をきちんと書く傾向がありました。

慎重なのです。

「得意なものこそ慎重に使う」ことが重要です。

 人はどうしても得意なものには自信から油断が生じます。

計算というデリケートな作業の場合、特に油断から来るミスというものは発生を防ぐのが難しい面があります。

だから、「自分は計算を間違えるかも知れない」という発想こそ、

計算を得意にするために一番必要な心構えではないかと思います。

得意なものは「伝家の宝刀」として

ここぞというときに使うべきですね。

 今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。

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