【永遠の四字熟語】「千秋万歳」「一日千秋」「千秋万古」はなぜ「秋」を使う?

千秋万歳(せんしゅうばんざい・せんしゅうばんせい・せんしゅうまんざい)

 千秋万歳はあまり聞いたことがない人も多いかも知れない四字熟語ですが、「きわめて長い歳月」を表すことばです。イメージとしては永遠を想定するような言葉です。

長寿を祝ったり祈念するようなときに使われます。「千」「万」は非常に大きい数という意味、「秋」「歳」は年を表しており、「千年、万年という非常に長い年月」を示しています。元々は中国から伝わった長寿を祈る言葉だと言われています。

「万歳」の読み方は「ばんぜい」「まんざい」とも読みますが、私たちにとって一番読みやすいのは「ばんざい」でしょうか。

日本の民俗芸能で同じ漢字で「せんずまんざい」というのがありですが、それとは別の意味をここではご紹介しています。

「あなたの長寿を心から祈っています。千秋万歳」というような使い方ができると思いますが、言われた方も意味が分からないかも知れませんね。ただ語感からめでたいイメージが伝わってきます。

一日千秋

「千秋」については「一日千秋(いちにちせんしゅう・いちじつせんしゅう)」という熟語が有名で、「一日がとても長く感じられる」という意味ですが、ここでも非常に長い時間という趣旨で使われています。

「彼の来るのを一日千秋の思いで待ちわびていた」というような使い方をします。

千秋万古(せんしゅうばんこ)

千秋万歳と同じような言葉として千秋万古があります。

千秋万古も「永遠の年月」あるいは「非常に長い年月」を指す言葉です。「万古」の部分は「大昔から現在」という意味があり、前半の「千秋」と合わせて「過去から未来へ向けて永遠の時間」というような趣旨がふくまれています。

由来は古代中国の漢詩から来ていることばですが、それにしてもどれも永遠が「千秋」という表現なのは興味深いです。

なぜ千秋?

なぜ長い年月を言うのに昔の人は「千春」「千夏」「千冬」でなく「千秋」を選んだのでしょうか?

「千秋」自体は「永遠」や「非常に長い年月」を表す意味のほかに「物事の終わり」という意味もあるようですが、

人々は秋を迎えると「ああ素敵な季節だな。こんな季節が繰り返しきて終わりなく続いていったらいいのに」というような感想を持ったのではないでしょうか。

秋になると気候も良くなり過ごしやすくなり、人々も楽しく外出したり学問をしたりと前向きな意識を持つことが多いですね。だからきっとそんな気持ちになりやすかったのではないかと思います。

あくまで私見に過ぎませんが、こんなシチュエーションが「千回もこの秋が繰り返して」というイメージを生んだのではないかと思ったりしています。

四字熟語には昔の人の色々な考えや感覚が秘められていて、想像をするのも楽しいですね。

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