「行」は何と読む?
漢字の読み方にはいろいろなものがありますが、たとえば「行」は何と読むでしょうか?
普通音読みなら「ギョウ」「コウ」、訓読みなら「い(く)」「ゆ(く)」を思い出すことと思います。
しかしそれだけはありません。割と使われるものとして、行には「アン」という音読みがあります。
今回はこの読み方をする熟語を3つご紹介します。
行脚(あんぎゃ)
行脚という言葉は割と聞いたことがある方は多いかもしれません。
行脚は色んな地方を巡り歩く事です。元々は仏教の修行で歩きまわることを指していましたが今は一般に広く使われています。
「今日はいろんなデパートに買い物行脚だ」なんて言う言い方をする人もいますね。
この熟語は学校の漢字の学習やテストなどでも出題がされることがあります。
行灯(あんどん)
行灯(あんどん)はその読み方がわかると「ああ、あれか」と気づく熟語です。
行灯(あんどん)は行燈とも書き、日本に古くからある照明器具の一つです。ろうそくや油を燃料とした火を使って明るくする仕組みの物で、持ち運ぶタイプや室内に置くタイプ、壁に掛けるタイプなど色々な種類があります。
よく時代劇に登場する灯りはこれですが、この後に登場する提灯(ちょうちん)とはちょっと違います。
角形の枠に紙を張って、底板に油の皿を置き、取っ手をつけた形が携行用の基本スタイルだったようですが、火災防止のためもあってか屋外は提灯にとって代わられたようです。
元々「行くときに持つ灯り」ということで行灯の漢字が使われるようになったところ、それに「あんどん」の読みが当てられたと言われています。
行宮(あんぐう)
行宮(あんぐう)はちょっと聞きなれないかもしれません。
行宮は天皇が皇居外へ行く場合(行幸・ぎょうこう)の仮の宮(仮宮)のことを言います。
天皇が外出することを行幸(ぎょうこう)と読むのに、行先は行宮(あんぐう)と呼ぶのが、漢字の読み方の難しいところですね。
天皇の所在については行在所(あんざいしょ)という言葉もあります。
いずれも少し特別な熟語ですのでなじみがないかも知れませんが、「あん」と読む場合は、このように結構あって驚きます。
漢字の読み方にはそれぞれ歴史的な背景があるため面白いです。
勉強として書き取りをカリカリやるのもいいですが、「どんな話だろう」と思って学ぶと逆にいつまでも忘れないっていうようなこともあります。
勉強をつまらなくするのも楽しくするのも自分自身なのです。
ぜひ一度そのことを考えてみてください。