美しい日本の言葉
日本語はそれを文字として書くときには、漢字とかなで表記がされる形で表現がされる言葉ですが、長い歴史の中で培われてきた文化がその中に込められているものだと言えます。
日本の文学については、すでに奈良時代には万葉集に素晴らしい作品が残っており、世界中でまだ文字もそんなに発達していない時代であった平安時代にはなんと女流作家紫式部による本格的なストーリーの源氏物語が書かれているという文化の進み具合でした。
特に季節や自然を表す言葉には世界に比類のない繊細な美しい表現があると言って良いでしょう。
秋から冬へ
今季節は秋も半ばですが、秋が次第に深まっていくこの時期はどんな人も周りの季節の変化を楽しみ、青空を見上げて日本の四季の美しさに喜びを感じるのではないでしょうか。
そんな時期には雨さえも情趣のあるものに見えてくるから不思議です。
もちろん台風などは大変ですが、自然に囲まれた環境にいるときに、ちょっとしたにわか雨がさっと降ってきたりすると、つい何かを思って物思いにふけるというのもわかる気がします。
俳句や短歌のような「思いを風景に託する」ような文学が発達してきたのも、その理由がわかりますね。
秋時雨(あきしぐれ)
秋時雨というのは秋の後半ごろ、降ってはすぐに止む雨のことを言います。
この言葉は古今和歌集以来の古い和歌集にも使われている言葉です。
何となく響きが良く、竹林の中を歩いていたらさっと雨が降ってきて、「ああ風邪をひかないように濡れないように」なんてことを言いながら、家路を急ぐ人の姿などが目に浮かぶような、そんな優しい感覚の言葉です。
時雨(しぐれ)と言う言葉があります。これは初冬の時期に一時風が強まって、急にぱらぱらと降っては止み数時間で通り過ぎてゆくような雨の事を言います。
秋時雨との違いは時期です。時雨は季語によく用いられていますが冬の季語のため、秋に振る同様の雨についての表現をするために秋時雨という言葉が使われるようになったようです。
こんなちょっとした季節の違いを言葉に組み込んでいくあたりが、やはり日本語は素敵だなと私が感じるところです。
皆さんも何かの際に「ああ秋時雨だね」というような会話をしてみてください。
趣がある気分になれることは間違いないです。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。