【楽しむ算数】寄り道が実は近道

算数を嫌いにさせる要因

 小学生が算数を勉強していて、苦手意識を持ったり、嫌いになってしまうポイントというものがあります。

 それは「割合」や「通分」のように、それまでより複雑な内容を学習する場合が多いのですが、

 時に、計算中心のドリル的な学習というものが、

算数というものを「機械的なもの」だと生徒に思い込ませてしまうことも

苦手意識を作ることへの一因があるかもしれません。

 もちろん単純な計算問題は、できるようになれば達成感があり、自分ができるようになっていく過程がわかりやすいので

上手く活用すれば算数の実力養成には効果的であることは明らかです。

 でも計算に力を入れ過ぎて、考えることを軽視する学習をしてしまうと、

文章題になると全く対応できなくなってしまうこともよくあります。

 何より「考える楽しさ」を味わえず、算数がつまらなくなる要因にもなりかねません。

単純な規則性の問題でも、生徒は好奇心の塊になる

 計算問題や教科書に出てくる文章題を離れて、規則性の問題を生徒に紹介することがあります。

 好奇心を取り戻すのに効果的なため、時に行うことがあるのですが、生徒は想像以上に興味を持ってくれます。

たとえば

1,4,9,□,□,36… □に入る数字を答えなさい。

というような問題です。(答えは16,25/2乗の数を並べた数列です)

 こういう規則性の問題は、中学入試などでは定番で出題されますが

小学校の通常の指導ではそんなには取り上げられません。

 中学でもそんなに学習をしないジャンルですが、高校受験では新傾向問題などと言われよく聞かれます。

 このタイプの問題は「考える楽しさ」を味わうのに絶好のテーマなので、できれば受験とかに使って欲しくない気がします。

 ただ、その先の高等数学を学ぶ段階になると、これはいろんな面でかなり役に立つことになります。

 問題の難易度はいくらでも変えられます。

2,3,5,8,12,□,23…  

などというだけでちょっと難しくなります。

(答えは17/ 間の数の変化に注目してください。だんだん増えています)

 どうでしょうか。結構楽しいのではありませんか。

小学生くらいの時期にこういう問題を目を輝かせて解いていくと、本当に数的な能力が伸びるように思います。

だから、もし学校でやらないとしても、ご家庭でやることをお勧めしたい学習だと思います。

発想力を鍛える問題

 これは算数というよりも思考力のテストとして相当有名な問題ですが、

「スイレンの葉の問題」というのがあります。

 あるスイレンの葉は生命力があって、毎日2倍に増えていきます。ある日に葉が4枚であれば翌日は8枚、その次の日は16枚というように倍々と増えていきます。繁殖を始めて48日後に池の全面をスイレンの葉が覆ってしまいました。

 このスイレンの葉が、池のちょうど半分の面積まで池を覆ってしまうのは、繁殖を始めて何日後になるか答えなさい。

という問題です。

 生徒にこの問題の話をすると、一生懸命に生徒は計算をしようとします。

 まず最初に出てくる多数の答えは「24日後」というものです。

授業の場合だと、大抵この日数に反論が出ます。

生徒間で話し合わせるとかなり興味深い意見がたくさんでてきます。

 そんなときの生徒たちの表情は、大変生き生きとしています。

 いわばクイズのようなものなので、当然かもしれませんが

こういう思考力を試す問題こそ、本当は学習において重要な要素を持っているのかも知れません。

 正解は「47日目」です。

 繁殖を始めたスタートの方から考えていくと、正解は出せませんが、全面を覆った48日目から逆に考えれば一瞬で正解にたどり着きます。

 一言で言えば、発想力を試す問題だと言えます。

 過去に相当多くの小学生・中学生・高校生にこの問題を出してみましたが、時間制限をかけて答えさせたことも影響してか、一発で正解を言い当てた生徒は過去に2人しかいませんでした。

 それくらい柔軟な発想力というのは得難いものだということになるでしょうか。

 ちなみにその正解者のうちの1人は、後に東大に合格しています。

 勉強というものは「わかる楽しさ」があれば、どんなに難しい内容になってもその推進力を失わずやっていけるものだと思います。

しかし、一旦ルーティンな片付け仕事になってしまえば、推進力は失われてしまうことがあります。

 興味を持って取り組めることは、学校の勉強の外にあることも多いです。

 少し視野を広げて「考える楽しさ」を味わうようにすることが、先々へ向けては大きな効果を生むことがあると思います。

寄り道のように見えて、実は近道ということはよくあるのです。

 特に小学生くらいの学習では、目の前のテストの得点に一喜一憂することよりも、長期的な展望を持って学習と言うものを考えていくことが重要です。

 好奇心を広く持ち、考える楽しさを良く知る生徒は、必ず後に伸びてきます。

 焦らずそういう視点を持ってお子さんの学習を見つめてあげてください。

 今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。

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