【中学理科のコツ】単なる速さの計算に過ぎない「地震の計算」が出来ない本当の理由とは?

地震の計算が難しく見えるのは切り口が見つからないだけ

 中1理科の終わりの頃の単元で、地層などとともに地震やプレートの学習が出てきます。

 今回は多くの人が苦手にしてしまう地震の計算についての学習のコツを書きたいと思います。

 大きく分けて地震の問題は

「グラフを読み取る問題」と「計算の問題」に分かれます。

 「グラフを読み取る問題」はもちろん難易度は高くありませんが、

初期微動継続時間から震源地からの距離を出す問題のみが、やり方を知っていないと解けません。

 P波とS波の間の時間(初期微動継続時間)をグラフで読んでいって、当てはまるところで左の目盛りを見て震源地からの距離を見るというやり方でできます。

慣れないとなかなか気づかないことが多いため注意が必要ですが、今回のテーマではないのでこれくらいに留めます。

「計算の問題」も出方によっては難しいものもあります。

 しかし化学や生物の計算などとは異なり、問題を解くための資料読み取りの特殊性や複雑な思考はほとんど不要です。

意外に簡単だといっていいと思います。

凝った聞き方をした「単純な速さの計算」に過ぎない

 地震の計算は、「震源からの距離」「時刻」「P波あるいはS波の速さ」の3つの要素から計算をするものですが、これは「距離」「時間」「速さ」という小学校で習った速さの計算そのものです。

 速さの計算を知っていれば、計算自体は何ら難しくありません。

 でも地震の計算が模試に出たりすると、その正答率は決して高くありません。これはどうしてでしょうか。

 おそらくこれは、問題文で聞かれていることを上手く把握できていないのと、

解法の切り口をしっかり覚えていないことによるのではないかと思います。

 たとえば

(1)震源地から100km離れている場所まで地震の波が到達するのに時間が25秒かかった。波の速さを求めよ。

という問題なら

距離÷時間=速さ だから

100÷25=4  4km/s と簡単に出せます。

 しかし、問題は普通こんな簡単な形で書かれてはいません。

(2)地震発生時刻が11:15:00で、震源から100km離れているA地点にP波が到達したのが11:15:25であったとする。P波の速さを求めよ。

易しくてもこれくらいの書き方がされます。

でもこれは(1)と全く同じことを聞いているだけです。

 時刻を比べると11時15分00秒から11時15分25秒まで25秒が経過していることがわかりますから、距離100kmの他に時間25秒も問題文から読み取れるので、

100÷25=4  4km/s となりますね。

 でも生徒は(1)はできても、(2)になると全くできないと言う場合が多いのです。

しかしその場合は、単に地震特有の問題文の形に慣れていないだけですから、少し練習をすれば大丈夫です。

間違っても難しいという先入観は持たないようにしたいところです。

一番よく聞かれる問題の形は?

もちろん実際にはもう少し難しい出題になります。

(3)震源から100km離れたA地点にP波が到達したのは11:15:25で、震源から200km離れたB地点にP波が到達したのは11:15:50であった。P波の速さを求めよ。

 さあこうなると、大半の生徒が手を止めてしまいます。

 距離も時刻も2つずつ書いてあるものの、それは地点間の距離や時間という形ではなく震源との関連で書かれていたりする数値のため、

生徒は「何をすればいいか」切り口がわからないのです。

この場合は「『距離』と『時間』をそれぞれまず算出する」という下準備が必要です。

でも下準備だけすれば、あとは単純な速さの問題になります。

AB間の距離は200ー100=100 で100km

AB間をP波が伝わるのにかかった時間は2つの時刻を比べて25秒

 これさえわかれば(1)(2)と計算は全く同じです。

100÷25=4  4km/s と出すことができます。

そして、普通は追加で地震発生時刻を聞かれます。

(4)震源から100km離れたA地点にP波が到達したのは11:15:25で、震源から200km離れたB地点にP波が到達したのは11:15:50であった。地震発生時刻を求めよ。

(3)で見たように、P波の速さが4km/sと出せますので、

震源から100kmのA地点まで100km距離があるこの問題では、

「距離」100km 「速さ」4km/s で

時間=距離÷速さ より

100÷4=25で、震源からA地点まで「時間」は25秒かかることになります。

そうするとA地点の時刻が11:15:25なので、その25秒前の11:15:00が地震発生時刻ということになります。

 この(3)(4)の出題は、地震の計算の典型的な出題パターンです。

正答率は実際は高くないのですが、やり方を覚えておけば非常に易しい問題だと言えます。

出題の可能性の高さを考えると、一度しっかりパターンを覚えてしまう必要があると思います。

 このタイプの問題を生徒ができない理由はどこにあるかというと、

「何が『時間』で何が『距離』なのかを問題文で読み取れない」ということが大きな理由になっている気がします。

「あれ?時間がないぞ」とか

「あれ?距離はどこの距離を見ればいいの?」

と言った具合です。

こういうのを「問題の切り口を覚えていない」と言います。

だから逆にそれを覚えればそれから先はずっと解けるようになります。

凝った聞き方をした「単純な速さの問題」に過ぎないからです。

今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。

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