【学習の質】「一番長く勉強すれば一番できるようになる?」答え「なりません」

たくさん書いて勉強した気になっている生徒

 勉強というと、多くの人がノートに一生懸命漢字や単語を書いていくシーンを思い浮かべます。

「ああ、勉強しているな」

 見ている人は、「いかにも勉強しているな」という印象を持ちますが、本当にそうでしょうか?

 実はノートに繰り返し何かを書いて覚えるというのはやり方がかなり大切です。

 やり方が悪いと、時間ばかり浪費する作業になってしまうので注意を要する学習と言えます。

 たとえば学校から、宿題の形式が「各単語をノートに10回ずつ書いて提出」というような指定がされることがあります。

 そんな宿題が出ると、頭を全く使わないで繰り返し書いてしまう生徒が続出してしまうきっかけになります。

「書けばよい」

「提出すればよい」

そういう気持ちになって、覚えることに頭が使われないということがよく起こります。

 よく見るのが、途中で間違ったつづりになっているのに気付かずそのまま書いてしまっているパターンです。

これでは、何のために書いているのかわかりませんね。 

単語の効率よい覚え方とは

 単語の暗記は、ある程度まとまった複数の単語(20個とか)を併行して同時に、かつ繰り返して覚えていくような形が記憶にとどまりやすいと言われています。

 1つの単語を続けて書いても、結構無駄になっている部分があります。

それだけでスイスイ覚えられる生徒は、実はすでに相当要領の良い生徒だと言って良いでしょう。

 書いている作業の中で自分で比較対照をして、微調整を行えるようになっていると言えます。

 まだこういう宿題の後に「テストをするよ」と言われていれば、生徒は覚えることにも頭を使うことができます。

でもそういう縛りがなければ、ただ「書いて終わり」となってしまうことが多いように思います。

 こういう宿題の出し方も良くないですね。

「書いてくる」という形ではなく、「覚えてくる」という形にして結果主義で、テストする方が合理的です。

たくさん書くのではなく、記憶に留めることが真の勉強

 中学校では評価基準が絶対評価に変わったため、観点別評価において主観の介入をなるべく減らしたいようです。

 だから評価ポイントを客観的な数値にして判定しようとする傾向があります。

 学校の先生も「公平」という大きな課題があるので、どうしても、「形に残ることが努力の表れ」という判断が幅を利かせているようにも感じます。

 でも1つの単語を、覚えてはいないがとにかくたくさん書いたのだという「努力そのものを評価する」という評価方法は本当に正しいのでしょうか。

 学習習慣作りという主題もあるのでしょうが、無駄なことを生徒にやらせているという面があることは否めません。

 さらに、結果が出なくても「量的に頑張ることが良い」という、誤った学習法を生徒に伝える原因になってしまってはいる気もします。

 学習の工夫をして、合理的にやっている生徒を「楽をしている」と判断するような誤った評価だけはしてほしくないと思います。

 勉強というのは、単語の学習で言えば

単語を「記憶に留める」

ということに尽きます。

これ以外の目標はありません。

 だから、

「1回も書かずに目で見て暗記」

もし、これができれば目標達成です。これが時間も労力もかからないベストな方法です。

 実際私たち学習を長くやってきた者は、そうやって新しい単語を見ただけで暗記できるようになっています。

 だから生徒の能力を先々伸ばしたいなら、こういう事ができるようになることを高く評価することが本当は大切です。

 このことは以前「三遍稽古」の稿でお伝えしました。http://wizzseiun.com/2019/11/22/3times-training/

でも、それができないから次善の策として

「何回か書いてみて覚える」

という方法を取るのです。

それも上手くできないから、

「回数を増やして定着度を上げる」

ということで、

ようやく「10回書く」という方法が必要になっているのだということに気づかなくてはいけません。

 だから、数回で覚えられる生徒に「10回書いてこい」と指示をする段階で、先生はその生徒の貴重な学習時間を奪っているということもできるのです。

自分の学習をしよう

 しかし学校の先生の出す宿題に一々反論もしていられません。

私たちは、せめて自分で学習をする際には

そういう形だけの作業にならないように気をつけたいものです。

 今回はそのための秘訣をお伝えします。

学習が作業になってしまわないようにする一番の方法は、

「結果を気にする」

ということです。

単語を覚えるときに

「単語を書けるようになる」という結果が出たら、

 それ以上に作業を続けないようにすればよいのです。

そうすることで無駄な時間を作らなくて済みます。

 でも簡単ではありません。

それを可能にするには、常に自分で自分の定着度を確認していなくてはならないからです。

 でもそういうチェックが自分でできるようになれば、学習の効率が学習全体で非常に向上することはほぼ間違いありません。

「一番長く勉強した人が、一番成績が良い」

そんなわけはありませんね。

でも

「一番効率よく勉強した人が、一番成績が良い」

という可能性は十分あると思います。

勉強は一にも二にもやり方が大切なんです。

確かに、努力は大切です。

しかし勉強では、基本的には出された「結果」が判断されます。

小学校や中学校では、教育という見地から、生徒の「姿勢」というようなものにも点数をつけますが、

結局のところ、学校を出て試験を受けていき大学へと進んでいく段階で

そういう「努力の姿勢」そのもので点数をもらえる機会は減り

実力という「結果」で判断がされるようになります。

 その時に、「努力をしている事がとにかく大切なんだ」という意識でいると

結果が出せない事による不利益は

すべて本人が被ってしまうことになります。

 時間は有限です。

目標はあくまで

「1回やれば、すぐ理解・暗記完了」という所に置くべきです。

今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。

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