経世済民
経世済民(けいこくさいみん)という言葉があります。世の中をよく治めて民衆を救済するということから、政治の目標を表す言葉だとされています。
「経」という言葉にはもともと治めるという意味があります。「経営」などはそういうところから来たものだと思われます。
「経世」で世の中をよく治めるという意味になります。
また「済民」は民の難儀を救うという意味を示しています。
「経国済民」という言葉もありこれも「国を治める」ということでほぼ同じ意味になります。
つまり政治の理想は昔からこの経世済民や経国済民にあったということです。これは今だってもちろん変わりません。
経済
この経世済民は「経済」の言葉の語源(短く省略したものが経済)であると言われます。
中学校の国語のテストでも
「『経国済民』を省略してできた二字熟語を書きなさい」という問題が出題されます。
それを聞くと「ああ経済って国民のための政治をすることなんだな」と思う人もいるかもしれませんが
現代では「経済」はそういう意味では使われていません。
「経済」は主にお金に関する問題で使われる言葉で、詳しく言えば人間の生活に必要な財貨やサービスを生産したり分配したり消費する活動や、それによる社会関係を「経済」と呼んでいます。
どうして意味が違ってきたの?
ではどうして省略しただけで意味が違ってきたのでしょうか。
これには理由があります。
江戸時代の頃に海外からエコノミー(economy)という言葉が入ってきました。
この言葉の語源はギリシャ語でoikonomiaという言葉だとされますが、英語に直した時の意味は「家庭を運営するときのマネージメント」というような意味だったようです。
今のエコノミーも、家庭だけではないすべての局面ですが「何かを運営する効率的なやり方やお金の節約」というようなイメージで使われていますね。
ところがわが国にはちょうどぴったり意味があう日本語がなかったのです。
それでこれに「経済」という言葉を当てたのではないかと言われています。
明確に「経済=エコノミー」の意味で使用したのは、福沢諭吉が有名ですが
それ以前にもエコノミーの意味の言葉は、実際には「経済」という言葉で置き換えられて使われていたようです。
いつのまにか経世済民とは離れた意味に
この「経済=エコノミー」の組み合わせが使いやすかったのか
あるいはちょうどこのころから銀行を中心とした貨幣経済が大きく発展したからか
経世済民の言葉の省略形でありながら「経済」はもとの経世済民とはちょっと違った意味に使われるのが主流になってしまったのでしょう。
なかなかおもしろいですね。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。