「静かな空間で机の前に座る」
皆さんは「静かな空間で机の前に座る」という状態を30分続けたらどんな感想を持つでしょうか?
「やることによる」そう思われますよね。
では「自分の興味のある本があり、静かな空間で机の前に座る」ならどうでしょうか?
おそらくほとんどの人が時間を忘れて本を集中して読むでしょう。
逆に「興味のない計算を100問やるために、静かな空間で机の前に座る」の場合はどうでしょうか?
人によっては5分も座ってはいられないかも知れません。
よくシーンとした図書館の自習室で、ずっと荷物を置いたまま館内をうろうろしたり、喫茶室へ行ったりして、肝心の学習を一向にやろうとしない人を見かけますが
ひょっとするとやりたくないテーマを先延ばしにしている状態なのかもしれません。
机に座って何もしない
私たちは、生徒が自習をしているのを見る機会がありますが、
見ていると、段取り良く順にやることを決めて時間を上手く使っている生徒もいれば、
何時まで経っても取りかかれず、窓の外を見たり、ペンケースをいじったりして、無駄に時間を過ごしてしまう生徒もいます。
同じ時間なのに、密度が全く違う感じです。
もちろんやり方を指導しますが、それでも習慣なのか座ってすぐ集中とはいかないようです。
集中できる状態
人が集中できる状態とはどんな状態でしょうか。
多くの人が想像するのは、教室で物音一つしない中、生徒が粛々と問題を解いている風景かも知れません。
もちろんそういう環境は、集中するには適していますが、全員が集中できている訳ではありません。
静かな環境は集中の場を提供しますが、静かな環境=集中できる状態とは限りません。
ここは個人差があると言えます。
逆に、居間で家族がいろんなことをしている机が、一番集中できるなんてこともあります。
慣れていれば、家族の話し声もバックグラウンドミュージックという訳です。
もっともテレビがついていて、それを見ながらなんていうのはまあ論外ですが・・・。
また、以前三上についての記事を書きましたが
トイレの中、乗り物の中、ベッドの中などは集中に適していると言えるでしょう。
必ずしも机に座って「さあ勉強」という態勢が集中を生むわけではない事がわかります。
このような事を考えると、集中できるという状態というものは、簡単に言うと学習をするために「余計な思考をしなくていい状態」だと言えるでしょう。
言い換えると「リラックスしている状態」です。
集中を阻害すること
逆に、集中をできなくする阻害要因を考えるとわかり易いかもしれません。
集中を阻害するのは、「やる気の空回り」「ノルマの重圧」「時間への焦り」「わからないことへの不安」「学習以外の悩み」
こういった要素ではないかと思います。
いずれもこういう事への思考が、学習者の気分を散漫にさせ、その結果リラックスができなくなって集中できないのだと思われます。
冒頭の例で言えば、「わからないけど何をやろう」「そう言えばこの前もつらかったな」「でも今日は頑張ろう」などということを、あれこれ考えている間に、無駄に時間が過ぎていく感じではないでしょうか。
すぐ内容に入る
前にも書いたことがありますが、集中するのに一番簡単な方法は「すーっとすぐ内容に入る」というやり方です。
集中がなかなかできない生徒のほとんどは、集中しようとして何かまず儀式を始めます。
「テキストを出してここに置き」「ペンケースを出して配置して」と言うようなことを、あれこれやっています。
自宅ならば、まず机周りの片づけから掃除、そして読書が始まってしまうことも多々あります。
こういった一切が真の集中を妨げています。
だから、いつでもそういう儀式をカットして
①机に座る
②すぐ問題内容を始める
というステップをとることをお勧めします。
最初は違和感がありますが、このやり方をするだけで、不思議に、集中がすぐ手に入れられることに気づくはずです。
ただ、ここでもう1つ注意すべきは、もう1つのステップとして
③始めたら最低30分は、席を立たないことです。
すぐに立ってしまえば、また儀式を始めてしまうかもしれないからです。
もしこの3ステップができれば、それだけで、集中は毎日手に入れられるに違いありません。
ぜひ一度お試しください。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。