「以上」「以下」
数学や法学などで範囲を表す言葉として「以上」「以下」と言うものがあります。
たとえば3回以上とか5年以下というような言い回しで使われますが、実際にはどこまでが範囲かという事で混乱をすることがあるかも知れません。
結論から言いますと、「以上」「以下」は基準として示されているその数を含みます。
「以」は物事の基点を表す漢字です。「もって」と読むことからわかるように、「その基点をもってスタートする」という趣旨が含まれているのです。
だから3回以上は、整数回であるならば、3回からカウントします。
3回、4回、5回・・・ということになります。
また5年以下は、5年を含みますので、5年、4年、3年・・・です。
数学で習う「以上」「以下」「未満」など
この決まりは、中学の数学で関数の学習をする際に変域が出てきますので、そこで学習をします。
「xは3以上」ならx≧3と表記して「3より大きい」のx≻3と区別します。
イコールがあるとその数を含むという事です。
また「以下」の他に「未満」という言葉もあります。
これは読んで字のごとく「未だ満たず」ということで、以下とは異なりその数を含みません。
18歳未満は18歳を含まないので17歳、16歳、15歳・・・という事になります。
生徒たちは意外にこれが苦手で混乱しやすいところなのですが、これには少し理由があります。
日常生活では、必ずしも「以」の使い方が原則通りのように思えない場面があるからです。
3名以外はその3名を含むのか?
ではたとえば、「3名以外」と言う場合はどうでしょうか。
「ゼッケンをつけた3名以外の人は枠外へ出て」と言われた場合
「あれ?『以』はその数を含むから、3名も入ってしまうぞ」と言う疑問が生じます。
でもこの場合は「3名を除く」という趣旨なので、「その3名ではない人たち」という意味になりますから、数字部分の「3名」は対象外です。
これは「以」の例外ではないと思います。「3名を以て基準として後は外とする」という風に考えれば、「以」にその3名は入っていることになるからです。
大正時代以前は昭和を含むのか?
他にも紛らわしいものとして「以前」という言葉があります。
たとえば「大正時代以前」は大正時代を含むのでしょうか?
「大正時代以降」という対義語が明らかに大正時代を含むので、「大正時代以前」は大正時代を含まず、イメージだけでその前の明治時代からカウントすると見てしまう人も多いのですが、
「これは大正時代以前にはなかったことだ」と言うような表現の場合、大正時代を含むと読むのが自然です。基本的には「大正時代(基点)」を含むと言って良いでしょう。
基点を含まない場合は単に「前」を使います。「大正時代前は」とか「大正時代より前は」ならば対象は含まないことになります。
わかりやすい例で言えば「ここに来る以前はよかった」と言う場合は「ここに来た時」は含まないですね。
何となくイメージだけで聞いていると微妙なのがこの「以前」なのです。相手との行き違いには気をつけた方がいいでしょう。
しかし「4時以前には入って」と言われて「4時」に行けば叱られること間違いなしです。
本当は「4時前には入って」と言ってほしいところなのです。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。