【予祝の力】新しき 年の初めの 初春の 今日降る雪の いや重け吉事 大伴家持

 

大伴家持

 新しき 年の初めの 初春の 今日降る雪の いや重け吉事  (万葉集 巻20 4516番)

読み方:あらたしき としのはじめの はつはるの きょうふるゆきの いやしけよごと(「あたらしき」ではなく「あらたしき」と読みます)

 ご存じの方も多いかと思いますが、大伴家持は万葉集の編者とされています。

そしてこの家持の歌は、万葉集と言えばまず浮かぶと言っても良いほど有名な歌です。

新年のスタートにはぴったりの歌と言って良いでしょう。

 その意味は、「元日で立春の今日この日の雪が降り積もるように、いよいよ重なれよ、よき事(吉き事)よ」という内容です。

これが歌われたのは新年の宴でのことだとされていますが、この年の(当時の暦による)1月1日は「立春」の日とちょうど重なる19年に一度しかない「歳旦立春」の日で合ったことから大変めでたい状況で歌われたものでもあったのです。

単なる願望?それとも

 この歌では「いや重け吉事」と言う部分がとても注目される部分になっています。

雪が降り積もるということとよい事(吉事)が重なっていくことがこの言葉に掛けてありますが、更によい言(吉言)が重なっているという風にも読むことができます。

「重け(しけ)」とは「重く(しく)」という動詞(古語)の命令形で、この場合「重なれ」という意味になりますが、そうだとすると吉事が重なれという願望のようにも読めます。

しかし日本では古くからの習慣で、「予祝(よしゅく)」というものがあるのをご存じでしょうか?

 この家持の歌は新年の宴で歌われたものでもあることから、予祝の意味が入っている歌だとも言われているのです。

予祝

 予祝(よしゅく)は特に農耕儀式として行われてきたと言われています。簡単に言うとまだその祝い事が起こっていないのに前祝いとして祝ってしまうという儀式です。

たとえば秋の豊作を事前に祝ってしまうためにお花見をするとか、色々な春の農耕儀式をするとかがその例とされていますが、元々日本人には「言霊(ことだま)の力」信仰があり、言葉にすればそれが現実になるという言い伝えから、事前に祝ってしまえば既成事実として現実になるという、引き寄せ的な面があったのだと思われます。

 新春の宴で「きっといいことが次々と起こるよ」と言っている家持の様子が目に浮かぶようですね。

 雪が積もっていくのを見てそんなイメージを抱き歌にしてしまう家持の感性の鋭さに驚かされてしまいます。

 私たちもこういう予祝の力を借りてみるのもいいかも知れません。

予祝についてはこちらの記事で「引き寄せの法則」と絡めて更に詳しく説明をしていますので、興味のある方は是非お読みください。

合格の前祝いとか就職の前祝いとか、普段からそんなことをいう人がいますが、あながち日本人にとってこの「前祝い」は根拠のないものではないのです。

一度考えてみるのも面白いと思います。

今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。

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