解答に時間がかかり過ぎる
テストを受験する場合にいつも問題になるのは、解答時間です。
出題者の出し方の問題もありますが、他の人よりずっと解答に時間がかかる、あるいはその時は時間がかかってしまったという事は誰でも経験があると思いますが
いつも時間がかかるというのが自分の特性だと思い込んでいる人が結構いるようです。
しかしこれは性格の問題ではなく単に解法のテクニックの問題なのです。
問題を解くのが遅いことを「仕方がない」と思っていませんか
テストで時間不足に陥ってしまうという事自体は、おそらく多くの人が時々体験をすることかと思います。
たまたま段取りが悪くて遅くなる場合や、特定の問題にひっかかってしまって遅くなる場合はいいですが、
「他の人はそうでもないのに、自分だけ毎回時間が足りない」という場合は、アウトプット面でハンデを負ってしまっていますからすぐに対策が必要です。
こういう状況の生徒は結構よくいるのですが、表面上は「時間をかけずに解かなくては」と言っていても、その実「時間がかかるのは仕方がない」と心の中では思っている場合が結構あるような気がします。
そういう場合には、「問題を解く時間がかかる」という事を「人の個性」だと考えてしまっているのではないかと思います。
確かに人に、「ゆっくり丁寧にやる」という性格や個性が存在するのは間違いない事ですが、「テストの問題を解く」というのは、私は別次元の事だと思っています。
そういう性格の方でも、もちろん速く解くことができます。
そうでなければ、大学入試や国家試験に合格する人に、ゆっくり丁寧型の人は存在しなくなってしまうことになりますが
周りを見渡しても、ゆっくり丁寧型の人も、そういう試験にきわめて強い人はたくさんいるからです。
個性の問題ではなく単純にテクニックの問題だと思います。
そのことに気づくと対策の方法も自然に浮かんできます。
問題を解く過程の分析
問題を解くときに、非常に時間がかかる生徒もいれば、「なぜそんなに速いの?」と思えるスピードで解く生徒もいます。
いつも時間切れになるので数学の点数が悪くて困っていたり、逆に、スピードは速いが雑でミスばかり出てしまうので、どうしたらよいか困っているという方もみえると思います。
問題を解く速さは、
①問題文を読み取るための時間
②問題の意味を把握する時間
③解答のための内容について思考する時間
④筆記をするための表現を検討する時間
⑤現実に筆記する時間
以上の時間のトータルで決まります。
したがってこの過程のどこかで時間が必要以上にかかれば、相対的に遅くなるわけです。
自分の状況についてこれを分析することが非常に重要な事ですが、ほとんどの人はこれを考えた事がないのではないかと思います。
どこが遅いのか?
問題文を読み取り、意味を把握する時間が長い(①②)生徒はすぐにわかります。
問題文をじっと見て首をかしげていたり、困った顔をしているからです。
この場合は、問題文の趣旨を読み取れるようにする練習を繰り返していくうちに、問題の類型というものがだんだんわかり、それに伴い時間も短縮できるようになっていきます。練習が効きやすい場所です。
解答の内容を考える時間(③)は、その分野の理解度と自分の思考を、現場で整理する速さ次第にはなりますが、
決断の速い生徒と遅い生徒で一番大きく違いがでるのはこの過程だと思います。
簡単に言えば、決断の速さが違うのだと思います。
「ある程度考えがまとまっているのに先へ進まない」という状況が、解くのが遅い人に最も見られる症状なのははっきりしています。
だから、ここの改善は自分の意志次第でできることになります。
表現の仕方を検討する時間(④)、たとえば計算式の具体的順番をどうするなどを検討する時間については
これも①②と同様に問題慣れをすれば基本的に速くなりますが、文章をどう書くかといったことになると、
文章を頭で浮かんだ順にスイスイ書ける生徒もいれば、書くことがほぼ決まっているのにそれをなかなか書けない生徒もいます。
ここでも決断の速さと相関する部分がでてきます。
筆記する時間(⑤)は、多くの生徒でさほど変わりがありませんが、中には人が読めないような乱雑な文字を猛烈なスピードで書く者がいる一方、丁寧に書道のように書いて時間がかかる生徒もいます。
自分の特性に気づいているか?
解くスピードが遅い場合には、自分が①~⑤のどの段階に時間がかかっているのかに気づくことが大切です。
理由がわかればそこを意識して変えていくことで改善をすることができます。
時間を計って、繰り返し練習をたくさんやれば速くなるはずと思って、とりあえずドリル的な学習で対策を行う人が多いのですが、
機械的な練習で速くなる部分と
そうではなく意識を変えないといつまで経っても速くならない部分とがあります。
まずどこで時間を食っているのか確認してから取り組むのと、そうでないのとでは効果がかなり異なってくるでしょう。
練習が効くところについては、気づきさえすれば早期に修正もできますが、決断の速さで変わる部分については、
人の個性や意識の持ち方にも関わってくるため、なかなか短期に変えていくことは難しい気がします。
ただ、総じて解く速さの問題においては、「決断」を速くするかどうかが随所で重要なポイントになっていることは、お判りいただけるのではないかと思います。
「遅くて正確な人」は実は改善がしやすい
青雲学院では小中高一貫指導をしています。
そのため長期的に生徒を見る機会がかなりあるのですが、決断に時間がかかるという生徒も、
意識をしてアドバイスを繰り返しているとだいたい1年以内程度、遅くても2年くらいまでには、かなり速さが変わってきます。
そして、時間がかかる生徒は慎重に解くタイプが多いので、スピードが伴ってくると成績も安定する傾向が高いです。
考えをまとめる時間が余計にかかっていることを意識して決断を早くする癖をつけさえすれば、改善はしやすいかと思います。
もちろん短期間ではなかなか難しいのは確かですが…。
逆にどちらかというと、むしろスピードがあるが、雑でミスが多いというタイプの方が
より軌道修正には時間がかかる気がします。
とにかく速く結果を出したいという気持ちが強いからでしょうか。
またこのような場合、速くやって見直しをしても多くの場合自分でミスに気づくことは難しいので、苦戦することがわりとあります。
けれども、たとえば
「わかった!」即解答というパターンを「わかった!」一呼吸おいてから解答
という形に変えていくだけでも正答率がかなり違ってくることもあります。
時間はかかりますが、やはり解答をするときの意識と手順を地道に変えていくことがここでも一番重要かと思います。
ぜひお試しください。
今後も皆さんのお役に立つ情報をアップしていきます。